太れないオリ山岡 食べることが過酷トレ 今オフはスイーツ増量

[ 2020年11月20日 11:00 ]

オリックスの山岡
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 食欲の秋。食べ過ぎて太った、なんてこともある。でも、アスリートにとって食べることは過酷なトレーニングの一つだ。オリックス・山岡泰輔投手(25)は太れない。球速アップを目指して今オフは「スイーツ増量」に取り組む。地元広島の銘菓・もみじ饅頭や、おはぎ、菓子など間食でベスト体重68キロを越える73キロまで増やすというもの。連想するイメージほど、甘くない背景がある。

 「シーズン中のベスト体重は68キロ。自主トレ中に、72~73キロくらいまで持っていって、投げやすいかどうかを確認したい。投げにくければ、体重を落とせばいいので」

 現在約64キロ。とにかく小柄で線が細い。豊富な運動量で体格差をカバーする投球スタイル。全身をバネのようにフル稼働させ、150キロ超の直球や球界トップクラスのスライダー、カットボールを操り、パ・リーグの強打者をねじ伏せる。それは、人一倍エネルギーを要するのだろう。明確なデータはなく、本人も分からないというが、とにかくカロリー消費量が半端ない。どれだけ摂取しても追いつかないのだ。

 実は昔から頭を悩ませていた。昨季は先発ローテーションを守り、13勝(4敗)で最高勝率のタイトルを獲得。シーズンを通して抜群の安定感を示した裏で、状態を維持するために、どうしたら体重をキープできるか。食べても、日々体重は減っていく。球威や変化球の精度など投球面に影響が及ぶ可能性もあった。昨夏には、開幕時から10キロ減の50キロ台まで落ち込んだこともあった。「なるべくカロリーが高い食事を、と思った」と、規格外の特大サイズで知られる「ペヤング超大盛り(1食237グラム当たり1081キロカロリー)」を試したこともあった。段ボールで箱買いしたが、「胃袋の大きさは変わらないから、入らないんですよね。それに、胃腸があまり強くないのか、体の負担も大きかったんです」。

 今季は、体質改善を目指して食生活をイチから見直して臨んだ。好物の一つだった麺類やジャンクフードを全て断った。個人トレーナーが考案した栄養バランスを考慮したメニューを、夫人が伝え聞いて調理するのだが、牛や豚、鶏にラム肉、魚や野菜などバリエーションは様々。さらに、夫人の薦めで、青汁を服用することも習慣付けていた。67キロとほぼベストの状態で開幕を迎えられた。しかし、コロナ禍で開幕が遅れるなど調整が難しい影響もあったのか、登板2戦目の6月下旬に左脇腹痛で離脱。リハビリ中に発症した胃腸炎で体重は60キロほどに減り、状態は戻らなかった。

 胃腸炎は突発的なものかもしれない。それでも、山岡が第一線で戦う上で、付いて回る重要なテーマであることは変わらない。試行錯誤してきた中で、今回たどり着いたのが、スイーツなど間食で食事回数を増やす方法だったという訳だ。

 「全体的に球速を上げたいし、強さを上げたい」と山岡。パルクールなどバランス系のトレーニングを継続しつつ、ウエートの強度を上げて肉体強化も図る。中嶋新監督の下、来季逆襲を狙うオリックス。チームが浮上するために、万全の背番号19の存在が欠かせない。(記者コラム・湯澤 涼)

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