「こんなに広かったっけ」赤星が甲子園に別れ…

[ 2009年12月10日 00:02 ]

甲子園球場のグラウンドに並べられた車いすに両手を掛ける赤星憲広

「命の危険もある」…阪神・赤星が無念の引退決意

試合後は足引きずり…故障背負いながら戦った赤星

「そんなに悪いとは…」アニキが、新井が絶句

 「こんなに広かったっけ」。9日、引退を発表した阪神の赤星憲広選手(33)。同日午後6時ごろ、甲子園球場のグラウンドに足を踏み入れると、そうつぶやいた。
 赤星選手は2003年から、自分の盗塁数に応じて全国の病院や福祉施設にサイン入りの車いすを寄付し続けてきた。
 今年の盗塁数は31にとどまった。「最後は甲子園の芝生の上でサインをしたい」と球団に頼み、31台の車いすが9年間慣れ親しんだセンターのポジションに並んだ。
 直前まで開かれていた引退会見では硬かった表情が、照明のともったグラウンドに入ると、緩んだ。周囲を見渡しながら車いすに歩み寄り、一台一台にサインを入れた。
 「あと100台でも200台でも頑張って贈りたかった」。贈り続けた車いすは7年で計301台になった。側面には名字を英訳した「Red Star」と背番号を組み合わせた“RS53”というマークが入っている。
 外野の芝生に立つのはけがで途中交代した9月12日の横浜戦以来。後方のバックスクリーンを振り返り「久しぶりに来たけど、いい球場。ずっと守ってきたから、最後だと思うと寂しい」と話した赤星選手。別れを惜しむようにゆっくりとグラウンドを後にした。

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2009年12月10日のニュース