牛鬼の町 岩村感激のモヒカンパレード

[ 2008年12月14日 06:00 ]

地元・宇和島で行われた凱旋パレードに参加したモヒカン少年たちと商店街を歩いた岩村明憲。なんだか貫禄あり過ぎ…

 レイズの岩村明憲内野手(29)が13日、故郷の愛媛県宇和島市で凱旋パレードを行った。沿道には人口約9万人の同市では異例の数となる約1万人のファンが集結。トレードマークでもあるモヒカン刈りにした少年らに囲まれ、市中心部の商店街を練り歩いた岩村は来年3月のWBC出場を宣言し、ワールドシリーズとのダブル世界一を誓った。

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 感極まった岩村は涙をこらえるように時折言葉を詰まらせた。15年ぶりに歩く故郷の商店街のアーケード(全長680メートル)を、小学生のブラスバンド100人に先導され約40分間。モヒカン刈りにすれば岩村と一緒に歩ける、という特典に誘われ青いトサカ頭にした20人の少年たちと一緒に至福の時を味わった。
 「本当に涙が出そうになりました。来年こそは世界一。そして春にはWBCもあります。正式発表はされてませんが、選ばれたら喜んで出場したい。こちらも世界一を目指してやっていきます」
 ファンの声援を受け、高らかにダブル世界一を宣言した。今季は弱小球団だったレイズを初のリーグ優勝に導いた。だが「ワールドシリーズの舞台に忘れ物をしてきた」と言う。当初は市の象徴である牛鬼に乗りパレードする案を強く推されたが「世界一にはなっていない」と辞退した。来季は2つの「世界一」の称号を手にし、市民へ恩返しがしたい。「前回王者で迎える次の大会が心待ち。日本の野球が世界に通用するところを証明する、僕の中でも大事な大会です」。控えていたWBCへの思いも一気に吐き出した。
 県内の教育委員会へは異例のお願いも。「モヒカンにした子供を責めないで。きょうは祭りで青色だけど、色がなければ普通の短髪です」。10月に地元タンパで岩村らをマネしてモヒカン刈りにした中学生が停学になる事件が起きた。「タンパがモヒカン色に染まったように、宇和島がモヒカン色に染まるのを期待しています。教育委員会の方々も目をつぶってください。そこから力をもらい団結力を持ち一緒に戦っていきます」。“モヒカンパレード”でもらった感動と力。来年こそダブル世界一での凱旋パレードを実現し、故郷に錦を飾ってみせる。

 ▼牛鬼 魔よけの意味が込められた巨大な山車。全長5~6メートルの牛をかたどった竹組みの胴体に全高4~5メートルの長い首と鬼面の頭を付ける。毎年7月22~24日の宇和島牛鬼祭りでは数体の牛鬼がぶつかり合う。もとは西日本に伝わる妖怪で各地で扱いには差がある。岩村の母校・宇和島東はかつて強打で鳴らし“牛鬼打線”と恐れられた。

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2008年12月14日のニュース