上野由岐子 決勝の米国戦最終回は“神”の領域に 「絶対に打たれない自信と共にマウンドに上がれた」

[ 2021年8月28日 22:06 ]

<東京五輪・ソフトボール 日本・米国>金メダルを獲得しガッツポーズの上野(撮影・小海途 良幹)
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 ソフトボール日本代表のエースとして、金メダル獲得に貢献した上野由岐子投手(39)が、28日放送のカンテレ「こやぶるSPORTS超 金メダリスト激白SP」に出演し、快挙達成の瞬間を振り返った。

 13年越しの五輪連覇をかけた決勝の米国戦で、上野は6回途中で一度降板となった。「投げ切りたい思いがあった」という中、目にしたのは「(リリーフした)後藤が今までと違って、プレッシャーに潰されそうな表情をしていたので、これはリエントリー(再出場)があるかもしれないと思っていた」というもの。そして、その直感通り、宇津木監督から再出場の指令が出ると、最終回の7回のマウンドに上がる際には、もはや金メダルを確信していたという。

 「自分の中で投げるボールが決まっていた。絶対に打たれない、絶対に大丈夫という自信と共にマウンドに上がれた。どういうフォームで、どういうリリースをしたら、どういうボールがいくというイメージが体と一致していて、そういう感覚が初めて出てきた」

 これにはMCでお笑いタレントの小籔千豊(47)も「初めて!」とビックリ。それまでは投球フォームも試行錯誤の状況だったが、上野は「最終回にやっと決まって、もうこれで大丈夫だと。絶対的な自信があった」と話し、小籔も「格好ええな~」と感嘆。「ソフトボール神社があったら、ご祭神はこの人や」と、神社巡りが好きな小籔流で例えた。

 そもそも、今回の東京五輪について上野は「この舞台に立つこと自体が神様からのプレゼント」と表現する。2019年4月27日の日本リーグの試合で、打球があごに直撃。当時を振り返り「ケガしたことで神様が教えてくれた。お前、そろそろ本気でやれよ!本気で怒られていると痛感したし、自分の中で思い当たることがいっぱいあった」と明かした。大けがをしたことでスイッチが入り、それまで「投げたくない。投げたくない」と思っていた気持ちはなくなり、「生まれ変わるきっかけをもらった」という。さらに五輪が1年延期となり、「去年やっていたら、確実に金メダルを獲れる状態だった」という最高の調整が全て無になった。それでも「1年延期になったからダメだった思いたくないし、思われない試合がしたかった」と心は折れなかった。

 優勝後には宇津木監督と抱き合い、「長い付き合いで、言葉はいらなかった」と表現した。引退を何度も止めてくれた恩人で、「だからこそ、今の自分がある」と感謝し、信頼関係は変わらないと口にした。最後に上野は、3年後のパリ大会でソフトボールが五輪競技から除外されることについても、「もう一度、五輪の舞台に帰ってこられるように」と、努力を重ねる決意を見せていた。

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2021年8月28日のニュース