パラ・ボート混合かじ付きフォア 立田寛之 経験生かし競技間の“バリアフリー”を

[ 2021年8月28日 05:30 ]

ボート日本チームのかじ取り役を務める立田(左)
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 【支える人(4)】ボートの混合かじ付きフォア(運動機能障がい・視覚障がいPR3)で日本代表を支えているのが立田寛之(29=戸田中央総合病院ローイングク)だ。健常者の参加が認められている種目でかじ取り役のコックスを務め、手足や視覚に障がいがある男女4人のこぎ手を一つにまとめている。

 27日は予選2組最下位の6着で敗者復活戦に回ったが「まずは楽しもうと思っていた。最後の500メートルは自分たちの思っていたような上がり方をしていた」と手応えも語った。

 石狩翔陽高でボートを始め、日大で大学選手権や全日本選手権を制覇。17年アジア選手権男子エイトで日本の銀メダル獲得に貢献した。しかし、目指していた五輪は世界と差が大きく、パラチームのコックスに応募。競技歴14年の経験を生かしてコーチ役も務める。

 「クルーの中で実績も選手歴でも、ある程度トップの中でやっていた自覚はある。そういうものを伝えるのは僕の使命」

 左腕に障がいのある西岡利拡(49=琵琶湖ク)は「考え方の勉強になる。全員がもう少し上を目指そうと意識が変わった」と影響を口にする。立田の橋渡しでメンバーが健常者チームで練習参加。レベルアップにつなげる一方で立田が学ぶこともある。セオリーを超えてオールの長さを調整するなどパラ独特の柔軟性に「先入観なくチャレンジしている」と受け止め、自身の引き出しを増やしている。

 健常の競技にも参加し「パラと完全に区切っているわけでは」と立田。いずれ五輪への挑戦を再開する意向で「障がいのある選手がこげる環境が増えれば」とパラ側の視点も生かし、競技間の“バリアフリー”を目指す。

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2021年8月28日のニュース