パラ陸上・女子走り幅跳び 中西麻耶は5メートル27で6位入賞

[ 2021年8月28日 12:14 ]

東京パラリンピック第5日 陸上 ( 2021年8月28日    国立競技場 )

<パラリンピック 陸上>女子走り幅跳びT64、跳躍する中西(撮影・木村 揚輔)
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 女子走り幅跳び(義足T64)決勝が行われ、日本記録保持者の中西麻耶(36=阪急交通社)は5メートル27の6位で入賞だった。高桑早生(29=NTT東日本)も4メートル88の8位で入賞となった。

 6回目の跳躍。中西は持ち味の助走から勢いをつけ、大きく腕を振って跳んだが、ファウルに終わった。それでも、強化してきた自慢の走り。5回目に、5メートル27をマークした。「明日、自分が輝けるかもしれないって夢と期待を持ってやってきた自分の走力」。夢舞台を全力で駆け抜け、ジャンプへつなげた。

 高校時代はソフトテニス部でインターハイに出場するほどの選手だった。しかし、21歳だった06年9月14日。中西の世界が大きく変わった。仕事中の事故で右膝下を切断。病院で告げられたのは、「切断」か「時間をかけても神経をつなぐ」か、だった。選んだのは前者。神経をつなげば、右足で体重を支えることは難しく、大好きなスポーツと決別してしまうからだった。

 義足生活を選択したが、厳しい現実が待っていた。「つえが生えているような感覚。歩くってなんだろう」。小さな頃からスポーツに明け暮れていた中西にとって、人生最大の挫折だった。想像を絶する苦難と向き合った。だが、そんな失意の中で、転機が訪れた。義足を装着してソフトテニスを続けていた中、トレーニングの一環だったランニングをきっかけに陸上の世界へ。驚異のスピードで実力をつけ、08年北京には100メートルと200メートルで、12年ロンドン、16年リオデジャネイロは走り幅跳びでパラリンピックに出場した。

 08年から大舞台を経験し、今回で4大会連続出場だ。年齢も36歳と、ベテランの域に達した。周囲からは「年齢を重ねるごとに、車と一緒で走行距離を積んだら、どんどん放物線になっていくからね」とも言われた。それでも、気持ちは揺るがなかった。「自分を信じようとやってきて、もう4、5年が経った。記録も出ているし、自分でも褒めたくなるくらい、走りもうまくなってきている」。常に進化することを追い求めてきた。

 初の表彰台とはならなかったが、先を見据えている。「何歳になっても、諦めずにやっていきたい」。義足ジャンパーは、これからも大きく跳んでいく。

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