病魔に打ち勝ったチーフス・ベリー、母が見守る故郷での一戦で大活躍

[ 2016年12月5日 15:55 ]

ファルコンズ戦で大活躍を見せたチーフスのベリー(AP)
Photo By AP

 NFLは4日に第13週の13試合を各地で行い、血液のがんとも言われる悪性リンパ腫(ホジキン病)の治療を受けて現役を続行しているチーフスのセーフティー、エリック・ベリー(27歳)が、故郷アトランタ(ジョージア州)のジョージア・ドームで行われたファルコンズ戦で大活躍を見せた。

 ベリーは2014年12月に悪性リンパ腫と診断され、15年6月までアトランタの病院で化学療法による治療を受けた。症状が悪化していれば引退を余儀なくさせられていたが現在は寛解。ただし再発するリスクを抱えながらのNFL生活となった。

 カンザスシティー(ミズーリ州)に本拠を置くチーフスはAFC所属で、ファルコンズはNFC所属。対戦はめったにないこともあって、ベリーにとってアトランタでの試合はプロ7季目で初めてだった。しかし第3Q終了間際にファルコンズのQBマット・ライアン(31歳)のパスをインターセプトし、37ヤードを走破してリターンTDを奪取。ベリーはスタンドにいた母キャロルさんを見つけて「戻ってきたよ」と語ってボールを渡し、母は投げキッスを送って息子の健闘を称えた。

 しかし第4Qに入って劣勢となり、残り4分32秒にライアンからWRオルドリック・ロビンソン(28歳)に5ヤードのTDパスが通ったところでスコアは27―28。AFC西地区の優勝争いを演じているチーフスは崖っ縁に追い込まれた。ここでファルコンズは点差を「3」に広げるためにキック(1点)ではなく2点コンバージョンを選択。ライアンはエンドゾーン内を右から左に移動したTEオースティン・ハーパー(22歳)にパスを投げた。

 これをベリーが再びインターセプトして、そのまま99ヤードを疾走。守備側の2点コンバージョンが成立し、記録上「0秒間」でリードする側とされる側が入れ替わるという珍しいプレーとなった。

 ヒーローとなったベリーは「最後にここ(アトランタ)に来たのは治療のためだった。試合前は今までのことを思い出して涙が出たし、試合中も試合後も涙は止まらなかった。いろいろな人のおかげで自分はここにいる。この時を大切にしようと思って全力を尽くした」と背番号29は感無量の面持ち。病魔に打ち勝ったヒーローをチーフスのQBアレックス・スミス(32歳)は「彼はチームの魂であり心臓部だ」と語って2つのビッグプレーに拍手を送った。

 試合は29―28(前半20―16)でチーフスが競り勝って9勝3敗。AFC西地区首位のレイダースも勝って10勝2敗としたために1ゲーム差は変わらないが、ベリーが故郷の“初舞台”で見せた活躍がチームにこれまで以上の活気を与える結果となった。

 ファルコンズは「0秒」で試合をひっくりかえされて7勝5敗。バッカニアーズが勝ったためにNFC南地区では両チームが首位に並んだ。

 ペイトリオッツは地元フォックスボロ(マサチューセッツ州)でラムズを26―10(前半17―0)で退けて3連勝で10勝2敗。QBトム・ブレイディー(39歳)はパスで269ヤードと1TDをマークし、引退したペイトン・マニング(元ブロンコス、コルツ)を1勝上回る歴代単独最多の通算201勝目を挙げた。

 ラムズは4勝8敗。ドラフト全体トップで指名されたジャレッド・ゴフ(22歳)は3度目の先発となったが、2度のインターセプトを喫して自身もチームも3連敗となった。

 49ersは降りしきる雪る中で行われたシカゴ(イリノイ州)でのベアーズ戦に6―26(前半6―7)で敗れて11連敗。第4Qにベンチに下げられた先発QBコリン・キャパニック(29歳)のパス成功は5回中1回(4ヤード)、リリーフしたブレイン・ギャバート(27歳)は10回中4回(35ヤード)で、チームのパス獲得(後退も含む)がチームワーストの「6ヤード」に終わるという屈辱的な試合となった。

 ベアーズは3勝9敗。QBマット・バークリー(26歳)のパス獲得は192ヤードだったが、相手のミスと守備陣の奮闘で連敗は3で止まった。

 なおレイダースは6連勝を飾ったが、ドルフィンズの連勝は6でストップ。レッドスキンズが敗れたために、試合のなかったカウボーイズ(11勝1敗=NFC東地区首位)のプレーオフ進出が4試合を残した段階で確定した。

 <その他の結果>

レイブンズ(7勝5敗)38―6ドルフィンズ(7勝5敗)、ベンガルズ(4勝7敗1分け)32―14イーグルス(5勝7敗)、ブロンコス(8勝4敗)20―10ジャガーズ(2勝10敗)、ライオンズ(8勝4敗)28―13セインツ(5勝7敗)、パッカーズ(6勝6敗)21―13テキサンズ(6勝6敗)、レイダース(10勝2敗)38―24ビルズ(6勝6敗)、バッカニアーズ(7勝5敗)28―21チャージャーズ(5勝7敗)、スティーラーズ(7勝5敗)24―14ジャイアンツ(8勝4敗)、カージナルス(5勝6敗1分け)31―23レッドスキンズ(6勝5敗1分け)、シーホークス(8勝3敗1分け)40―7パンサーズ(4勝8敗)

続きを表示

この記事のフォト

2016年12月5日のニュース