池田2億円超え初賞金王も…1差2位V逸に悔しさと達成感 

[ 2016年12月5日 05:30 ]

男子ゴルフツアー 日本シリーズJTカップ最終日 ( 2016年12月4日    東京都稲城市 東京よみうりカントリークラブ=7023ヤード、パー70 )

賞金王に輝いた池田はボードを掲げる
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 ついに勇太がキングの称号を手に入れた。今季最終戦で、5バーディー、1ボギーの66で回った池田勇太(30=日清食品)が通算12アンダー、268で2位となり、自身初の賞金王に輝いた。来季から5年のシードを獲得。今季3勝、2位が6度と安定し、総額約2億790万円を稼いだ。65をマークした朴相賢(33=韓国)が13アンダーでツアー初勝利を飾り、3年のシードを獲得した。逆転の賞金王を目指した谷原秀人(38=国際スポーツ振興協会)は64と伸ばしたが、通算11アンダーの5位に終わった。 

 賞金王を決めた。だが、笑顔はない。何とも池田らしいフィナーレだった。「勝って賞金王を獲るつもりでいた。今は悔しさが大きい」。首位と1打差で迎えた最終18番パー3。入ればプレーオフに進める5メートルのバーディーパットを外し、ぼう然と立ち尽くした。大会中、賞金王について質問されても「優勝」だけを口にしてきた。心から悔しかった。だが、会見で激闘の一年を振り返ると次第に達成感もこみ上げる。「これまで何度か賞金王争いに絡んだけど結果的に(タイトルを)獲れなかった。やっと獲れた」。ようやく笑みを浮かべた。

 ゴルフの師である最愛の祖父・直芳さんが昨年5月に他界。生前、直芳さんの口癖だった「一番じゃなければ2位もビリも一緒」は人生の道しるべだ。昨年12月に30歳の節目を迎えた。年下の松山、石川が世界で堂々と戦っている一方で、一番になりきれない自分がいた。「変えないと行き詰まっていた部分がある」。もう一つ殻を破るべくあえて変化を求めた。

 クラブ契約をフリーにし、代名詞だった角刈りに3タックのパンツを封印してスタイリッシュな髪形とウエアに一新。最も大きな変化はこのオフに初めて筋力トレーニングを取り入れたことだ。3月には福岡のジムで1カ月間の合宿を敢行し体をいじめ抜いた。4月に早々に1勝。オフに1年間を戦う土台づくりができたため9月以降の後半戦も優勝2回、2位が6回とバテずにシーズンを戦い抜くことができた。

 8月には「自分の中に新しいものを探したくなった」と09年から7年間、14勝を数えた福田央キャディーとのコンビを解消した。それでも、ハウスキャディーを起用した9月のANAオープンで優勝争いを展開。2位に終わったが、「彼がいなくても優勝争いできたという部分では自信が持てた」。賞金王へ加速するきっかけとなった。

 来年4月には11年以来6年ぶり3度目のマスターズに出場できる見込み。20年には東京五輪が迫っており、歩みを止めるつもりはない。「賞金王にはなったけど、よくやったと思ったら終わり。プロは勝ってなんぼ。今度こそ誰よりも勝って最多勝で賞金王になりたい」。“勇太時代”の幕開けを高らかに宣言した。

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