ラグビー常連客増やすための提言 フランチャイズ制考える時期が来た

[ 2016年1月27日 12:17 ]

 ラグビーのトップリーグは24日のプレーオフ決勝を持って、今シーズンの全日程を終了した。プレシーズンリーグの38試合を加えた総入場者数は、過去最多の49万1715人。これまで最多だった昨シーズンを約10万人上回る盛況だった。これもひとえに、昨年のW杯での日本代表の活躍があったから。開幕戦では日本協会のチケット販売戦略にミスがあって空席が目立ったが、その後は客席が埋まる会場が多かった。

 大切なことは、今季のラグビー熱をいかに来季以降につなげていくかだ。W杯をきっかけに、初めてラグビー場に足を運んだファンも多いはず。そうした一見さんたちを再びラグビー場に呼び戻し、常連客にできるか。まずは6月のW杯後初の国内テストマッチになるであろう日本―スコットランド戦で、ジャパンが強さを見せられるかが大きなカギを握ると思う。

 ただ、日本協会には「日本代表頼み」の戦略からは脱してほしい。そのためにリーグ運営のビジョンが大切になる。今季は短縮日程となった関係で、開催会場数は26都道府県・35会場だった。歴代最多だったのは昨シーズンで、32都道府県・41会場。16チームが総当たりでレギュラーシーズンを戦う来季は、再び拡大路線を取るのだろうか。リーグも来季で14年目。個人的にはそろそろ、フランチャイズ制に近い形を取るべき時期に差し掛かっているように思う。

 プロ野球とJリーグはフランチャイズ制を取り、自軍ファンやサポーターを獲得。その支えによって収益を上げている。一方のトップリーグはチームが首都圏と関西圏に固まっており、チケット販売も母体企業への販売が大きな柱だ。これらの状況を考えれば「ラグビーのファン」ではなく「チームのファン」をつくることは難しいかも知れない。ただ、難しいからできないと言い続けていては、ラグビー熱の低下とともに客足も遠のくのは目に見えている。

 昨シーズンの14年12月7日、長野運動公園総合運動場陸上競技場で行われたNEC―宗像サニックス戦の観客数は、わずか443人だった。全国くまなく公式戦を開催することによって、ラグビーの普及やファン拡大につながるとの考えにも、一定の理解は示せる。ただ、たった443人の地方ファンを獲得するために、チームの「地元」を捨てるのは、得策とは思えない。

 昨シーズンの第1ステージで、7試合中4試合が地方開催だったヤマハ発動機の五郎丸歩は、自身のツイッターでこうつぶやいている。

 「トップリーグもいつまで地方開催を続けるのか。地元にも根付かず地方にも根付かない、どっちつかずな気がする。」

 五郎丸の考えは、今現在は変わっているかも知れない。ただ私は、この意見に賛同したい。一切の地方開催をなくす必要はないが、バランスは考慮されるべきだろう。来季のシーズン日程に注目したい。(阿部 令)

続きを表示

2016年1月27日のニュース