遠藤 強行出場7日目やっと勝った!幕内残留へ残り8日で3勝

[ 2015年5月17日 05:30 ]

荒鷲(左)を寄り切り初白星を挙げた遠藤

大相撲夏場所7日目

(5月16日 両国国技館)
 先場所途中に左膝を大ケガしながら強行出場している遠藤が荒鷲を寄り切って初白星を挙げた。遠藤本人の意思によって出場を決めたものの、初日から6連敗。それでもケガの悪化を恐れることなく師匠とともに前を向き続け、ついに1勝を手に入れた。優勝争いトップの1敗は白鵬、日馬富士の2横綱、関脇・照ノ富士、平幕の高安ら計8人となった。
【7日目取組結果】

 遠藤が初白星を挙げた瞬間、館内に歓声と拍手がとどろいた。しばらく鳴りやまなかったその音は横綱大関よりも大きく、今場所No・1だ。初日から大銀杏(おおいちょう)を結い始めた24歳の人気者は7日目にして初めて勝ち名乗りを受けた。そして先場所負傷した左膝を引きずることなく花道を闊歩(かっぽ)。これまで支度部屋では敗者の美学として一貫して取組の感想は言わなかったが、この日ばかりは「良かったです」と無表情ながら答えた。

 ここまで大切にしたことは「気持ち」。その言葉通りの相撲だった。同じく全敗の荒鷲を立ち合いから押し込んだが、右腕をつかまれ、とったりで揺さぶられる。それでも左足を使って懸命にこらえ、得意の左差し。相手に回り込まれて粘られたものの、すり足で食らいつくと最後は下を見ながらがむしゃらに寄り切った。

 先場所5日目に左膝の前十字じん帯と半月板を損傷して途中休場。地元後援会からの強い要望があり、師匠・追手風親方(元幕内・大翔山)も初日2週間前までは休場させる方針だった。だが、遠藤だけが諦めない。5日前に出場を決めたのも本人。決して長くはない現役生活に悔いを残させないため、師匠は周囲の批判を承知の上で「痛くなったら休場させる」と弟子の意思を尊重した。

 14年前の夏場所。14日目に右膝を負傷して父である師匠(元大関・貴ノ花)の「棄権勧告」を振り切って千秋楽に出場し、見事優勝を飾った貴乃花親方(元横綱)は、遠藤についてこう言う。「本人と師匠が決断したこと。弟子も師匠も立派なことです。人生の糧になる。後半戦盛り返すと思います」。幕内残留まで残り3勝。危険な賭けであることは間違いないが、残り8日間さえ乗り越えれば、男としての価値は上がる。

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2015年5月17日のニュース