吉田流で男子再生だ!栄強化委員長、20年東京まで“続投手形”

[ 2015年2月20日 05:30 ]

練習で苦しそうな表情をみせる吉田沙保里

 霊長類最強女子のDNAを男子に植え付ける!日本レスリング協会は19日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで男女の全日本チームによる合同合宿を開催。五輪4連覇を狙う女子53キロ級の吉田沙保里(32=ALSOK)らを育て、近年の女子隆盛の立役者でもある栄和人強化委員長(54)が男子の強化にも本格的に乗り出す構え。男子復興のために女子のノウハウも取り入れていく方針を示した。

 マット上は男女の熱気で超むんむんだった。合宿日程が重なったこの日を利用し、フリー、グレコローマン、女子の3部門が合体。各スタイルは別メニューで交わることこそなかったが、総勢約180人の大合宿が実現した。

 「男子に見られていると思うと気持ちも入る。見たり見られたりで、どっちにもいい刺激になる」。世界選手権代表選考会となる6月の全日本選抜選手権(東京・代々木第2体育館)に向けて、吉田は女子の第一人者らしい熱のこもった動きを見せた。

 昨年の世界選手権男子フリー74キロ級銀メダルの高谷惣亮(25=ALSOK)は「女子はレベルの高いチーム。みんなで声を出して盛り上げているし、凄く雰囲気がいい」と語り、男子にはない一体感が強さの秘訣(ひけつ)と感じ取ったようだった。昨年5月以来の合同合宿開催。栄氏の狙いもそこにあった。

 64年東京五輪で金メダル5個を獲得した男子レスリングは近年は低迷続きだ。最近6大会で金メダルは12年ロンドン五輪フリー66キロ級の米満達弘のみ。04年アテネ五輪から採用され、華々しい活躍を続ける女子の陰に隠れがちになっている。

 今月9日のコーチ会議では、日本協会の福田富昭会長や高田裕司専務理事から栄氏に「もっと男子に入り込んでいけ」と指令が出たという。栄氏は本来は女子の強化委員長で、昨春から全体の強化委員長を兼任した。これまで男子のことは遠巻きに見ている部分もあったが「東京五輪までは僕が責任を持ってやると約束した」と20年まで現職にとどまる5年間の“約束手形”をもらい、今後は男子の強化にも携わる。スパーリングの合間にも補強運動を行う女子の激しさを取り入れたり、男子のコーチ陣に対しても厳しく評価、指導するなどプランはすでに温めている。吉田らを育てたエッセンスが男子復興の鍵になる。

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