「浦島太郎」新崎 一時は引退決意…3年ぶり60台2差

[ 2013年4月5日 06:00 ]

18番、アプローチショットを放つ新崎弥生

女子ゴルフツアー ヤマハ・レディース葛城第1日

(4月4日 静岡県袋井市・葛城ゴルフ倶楽部山名コース=6549ヤード、パー72)
 一時は引退を決意した32歳の新崎弥生(ミズノ)が6番からの3連続を含む7バーディー、3ボギーの68で首位と2打差の5位につけた。今年から4日間となった大会でツアー初優勝を狙う。35歳の新坂上(しんさかうえ)ゆう子(フリー)も5アンダー、67で2位につけ“オーバー30”が奮闘。O・サタヤ(29=タイ)がボギーなしの6アンダー、66で首位に立った。
【第1R成績】

 2年間、ツアーから遠ざかっていた新崎は「浦島太郎みたい」とつぶやいた。ベテランの域に入る32歳になり以前よりも「ツアーのレベルが上がっている。ビックリした」と感じるのが、その理由だ。今季4試合はすべて予選落ちだったものの、ようやく納得のゴルフができた。60台は10年以来、3年ぶり。笑顔がはじけるのも当然だった。

 いぶし銀のゴルフを見せたのは長いパー4(411ヤード)の2番。第2打は3Wを持つほど距離が残ったが、無理にピンを狙わずグリーン手前に運んだ。そこから35ヤードのアプローチをSWで沈めてバーディー。6番からは3連続バーディーを奪った。以前はピンチで余裕がなかったが、出場機会がない間に考え方が変わった。「イライラしなくなった」と気持ちのブレが少なくなり、それがツアーにも慣れた5戦目で好スコアに表れた。

 プロ7年目の08年に初シードを得たものの、維持できず、10年夏に「予選落ちをしても悔しくなくなった」と未勝利のまま一時、引退を決意した。翌11年、故郷・沖縄に戻ると「飲んだくれて遊んで」と気ままな日々を送った。だが、同年にジュニアを指導。純粋にゴルフを楽しむ子供たちを見て自分を見つめ直した。再びクラブを握る決意をしたが、昨年は出場権を得られず、今季は予選会で24位に入りやっとツアーに参戦。指導する小、中学生に「戦う姿を見せたい」という思いが今のモチベーションだ。

 マイクを持てば、抜群の歌唱力と物まね芸で周囲を笑わす。十八番は浜崎あゆみ。プロ仲間からは「浜崎弥生と呼ばれています」と言うほど。ここ2週は24歳の一ノ瀬、20歳の堀が連続して初優勝。新崎のような味のあるベテランが続けば女子ツアーは一層、深みが出る。 

 ◆新崎 弥生(あらさき・やよい)1981年(昭56)3月1日、那覇市生まれ。今に続く沖縄のジュニアゴルフ出身者の先駆け的存在。11歳でゴルフを始め、高校は大山志保らを輩出した熊本中央女子へ進んだ。02年に3度目のプロテスト合格。最高成績は08年マンシングウェア東海の2位。11、12年のレギュラーツアー出場は推薦による1試合ずつ。1メートル62、60キロ。

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