攻めの相撲で開花 千代大龍、無傷の5連勝

[ 2012年7月13日 06:00 ]

佐田の富士(右)をよりきりで破り5連勝の千代大龍

大相撲名古屋場所5日目

(7月12日 愛知県体育館)
 元学生横綱の平幕・千代大龍が取り直しの末、佐田の富士を寄り切って無傷の5連勝。師匠の九重親方(元横綱・千代の富士)に叱責(しっせき)されていた、はたきや変化技を封印し、攻めの相撲が開花。来場した家族の前で成長した姿を披露した。横綱・白鵬は妙義龍をはたき込み、無敗をキープ。5戦全勝は大関の把瑠都、日馬富士、平幕の大道、舛ノ山を加えた6人。
【取組結果】

 思わず欲が出てしまった。土俵際でもつれた最初の取組。千代大龍は物言いがついた段階で「負けている」と観念した。だが協議の結果は、同体で取り直し。仕切り直しでは、勝ちに徹して立ち合いで左に動いた。慌てた佐田の富士の隙に乗じてもろ差しとなり一気に寄り切り。無傷の5連勝に「あと3つで勝ち越せる」と笑みを浮かべた。

 学生横綱として鳴り物入りで角界入りしたが、夏場所までの45勝中19勝が、はたき込みと引き落とし。師匠の九重親方には連日カミナリを落とされた。心を入れ替えて稽古中からはたくことを封印。前に出る相撲に徹すると、白星が並んだ。前夜は鬼の師匠からも「いい相撲だ」と褒められたが、この日は悪癖が出ただけに「(変化は)立ち合いで軽く当たってからなので…」と苦笑いだ。

 変身の要因は地力強化にあった。熱心な鍛錬で昨年11月から半年間で体重を30キロ増の180キロにした。体格は大きくなったが、スピードを維持したままの攻めにも磨きをかけた。

 取組後には応援に駆けつけた母の明月院夏美さん、妹・南美さんと笑顔で勝利を分かち合った。母に給料(約130万円)の半分を渡している孝行息子は「まずは勝ち越し。三賞候補に名前が挙がればうれしい」。珍しく控えめに徹したが、旭天鵬に次ぐ平幕優勝を期待させる充実ぶりだ。

 ◆千代大龍 秀政(ちよたいりゅう・ひでまさ)。本名・明月院秀政。1988年(昭63)11月14日、東京都荒川区生まれの23歳。足立新田高から日体大に入学し、4年時の11年に国体成年個人と全国学生選手権優勝。11年技量審査場所で幕下15枚目付け出し格でデビュー。今年初場所に本名から千代大龍に改名し、その場所で十両優勝。同夏場所で新入幕。得意は突き、押し。1メートル80、180キロ。 

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2012年7月13日のニュース