「ケイリンで金を」渡辺 被災地に勇気野メダル誓う

[ 2012年5月2日 06:00 ]

会見に臨んだ(左から)新城、前田、新田、渡邉、中川

 日本自転車競技連盟は1日、ロンドン五輪の代表5人を発表し、男子トラック種目では、福島第1原発のある福島県双葉町出身の渡辺一成(28=日本競輪選手会)が2大会連続の代表に選出された。

 渡辺は4月30日に行われた共同通信社杯(名古屋競輪場)で初のビッグレース(G2以上)を制覇。都内で行われた会見では「ケイリンで金メダルを目指したい」と力強く宣言した。

 実家は原発から約3キロの警戒区域内で、震災後は一度も戻れていない。両親らは神奈川県大和市の被災者用の住居で生活を続けている。地震直後は競技に集中できる状況ではなかったが、地元の仲間たちから「おまえの活躍で元気になれるよ」と励まされて、もがき続けた。

 4月の世界選手権(メルボルン)ではケイリンで5位に入り、今回は日本発祥の種目でメダルを狙う。現時点で出場種目は未定だが、「福島では被災されても、応援してくれる方々がいる。そういう人の思いを込めて走る。メダルを獲って喜びを分かち合いたい」。ロンドンからは必ずメダルを胸に凱旋する。それが被災地を最も元気づけることだと信じている。

 ◆渡辺 一成(わたなべ・かずなり)08年北京五輪チームスプリント6位。12年世界選手権はケイリンで5位、チームスプリントで4位。福島・小高工高出。日本競輪選手会。1メートル76、76キロ。28歳。東京電力福島第1原発事故の警戒区域に指定されている福島県双葉町出身。

 ◆新田 祐大(にった・ゆうだい)06年ドーハ・アジア大会チームスプリントで優勝。福島・白河高出。日本競輪選手会。1メートル72、76キロ。26歳。福島県出身。

 ◆新城 幸也(あらしろ・ゆきや)ロードレースで世界最高峰のツール・ド・フランスを09年、10年と2年連続で完走。10年世界選手権で9位、11年アジア選手権で優勝。沖縄・八重山高出。ヨーロッパカー。1メートル71、65キロ。27歳。沖縄県出身。

 ◆中川 誠一郎(なかがわ・せいいちろう)12年世界選手権チームスプリント4位。熊本・真和高出。日本競輪選手会。1メートル74、77キロ。32歳。妹の諒子も自転車選手。熊本県出身。

 ◆前田 佳代乃(まえだ・かよの)10年広州アジア大会、12年世界選手権代表。兵庫・県西宮高出。鹿屋体大4年。1メートル65、67キロ。21歳。兵庫県出身。

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2012年5月2日のニュース