「金払ってやれ」きっかけは佐ノ山親方しっ責?

[ 2010年8月2日 18:03 ]

 大相撲の野球賭博をめぐる恐喝事件で、指定暴力団山口組系組幹部の自称万谷里弘容疑者(37)と、組員田原勝仁容疑者(34)は、阿武松部屋の元力士(35)から、古市満朝容疑者(38)との金銭トラブルの解決を依頼されたにもかかわらず、一転して元力士への恐喝に加わった疑いがあることが2日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁組織犯罪対策3課は2日、恐喝の疑いで万谷容疑者らが所属する大阪市の山口組黒誠会の事務所と、安田善彦容疑者(45)が所属する福岡市の山口組伊豆組事務所などを家宅捜索。古市容疑者と共謀した経緯を調べている。
 一方、古市容疑者は被害者で賭博の仲介役とされた阿武松部屋の元力士(35)について「自分の賭博の負け金を口外され、弟(の力士)が佐ノ山親方から怒鳴られたので文句を言った」と供述。組対3課は、佐ノ山親方(元大関千代大海)のしっ責が、恐喝の契機になった可能性もあるとみて調べている。
 捜査関係者によると、賭博の仲介役とされた元力士は昨年末、元大関琴光喜関から勝ち金の支払いを求められた際、「古市容疑者が2千数百万円の負け金を払っていない」と説明、古市容疑者に請求するよう促した。
 経緯を聞いた当時現役の佐ノ山親方は、古市容疑者の弟で阿武松部屋の幕下力士(34)に「おまえの兄貴はどうしようもない。金を払ってやれ」としっ責したという。
 元力士は1~2月、古市、安田両容疑者から迷惑料を要求され、知人の万谷、田原両容疑者に仲裁を依頼。万谷容疑者らは了承し、古市容疑者に連絡を取ったが、その後逆に元力士に「相手は『(古市容疑者の)弟が相撲界にいられなくなる』と言っている」と現金を要求するようになったという。
 万谷、田原両容疑者は「600万円を預かったが、恐喝の手助けはしていない」などと容疑を否認。古市、安田両容疑者とは、もともと面識がなかったとみられる。

続きを表示

2010年8月2日のニュース