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浦和、頂点見えた!主将・阿部が先制PK 敵地で1―0先勝

[ 2016年11月30日 05:30 ]

明治安田生命JリーグCS決勝第1戦  ( 2016年11月29日    カシマ )

<鹿島・浦和>後半、PKを決めイレブンの祝福を受ける浦和・阿部(22)
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 Vロードが、くっきり見えた!J1年間王者を決めるチャンピオンシップは29日、カシマスタジアムで決勝第1戦が行われ、浦和(年間勝ち点1位、第2ステージ優勝)と鹿島(同3位、第1ステージ優勝)が対戦し、浦和が1―0で先勝した。FW興梠慎三(30)が倒されて得たPKを後半12分に主将のMF阿部勇樹(35)が冷静に決めた。第2戦は12月3日に埼玉スタジアムで行われる。年間優勝のチームは同8日に開幕するクラブW杯に開催国代表として出場する。 試合結果  年間順位表

 張り詰めた緊張感の中でも百戦錬磨の主将は冷静だった。後半12分に訪れたPKのチャンス。浦和サポーターが詰めかけた敵地のゴールを見渡した阿部は、腹を決めた。「大勢の壁を見たら、それ以上に怖いものはない。リラックスして蹴れた」。浦和に関わる人々の全ての思いを結集したシュートが、鹿島のネット中央を突き刺した。「自信を持って蹴れた。入って良かった」。価値あるアウェーゴールを決めた主将は、事もなげに話してみせた。

 その決勝点はエースの“アシスト”から生まれた。ペナルティーエリア内で右クロスに合わせようとした興梠が「(相手の)前に入れば体を当ててくる」とマークに来た西に狙い通りつぶされ、PKを獲得。「あそこはPKになりやすいところ。FWとしては駆け引き。力が抜けた時に(西が)来た」。浦和のシュート数は相手の半数以下の5本。1トップで体を張り続けたからこそ得た値千金のPKに、「(元同僚の西に)“おまえ、若いな”と言いました」と勝ち誇った。その絶好機を阿部がしっかり決めた。

 誰もが優勝へ熱い思いをたぎらせる。それは阿部も興梠も同じだ。阿部は12年にレスターから復帰。07年ACL優勝メンバーの阿部が離れた約1年半の間にチームは降格危機にさらされた。「帰ってきてくれよ」。そんなサポーターの声を耳にして復帰を決めた。14年の差別的横断幕問題の時も、開幕から連敗が込んだ15年の時も、批判の矢面に立ってきた。その先にはJリーグ制覇という明確な目標があった。

 13年に鹿島から移籍した興梠も秘める思いがある。ライバルチームからの移籍に浦和ファンも拒否反応を起こした。鹿島のクラブハウスには数十枚も脅迫文のような手紙が届いた。「おまえなんかいらない」。周囲の反対を押し切ってまで新しい挑戦がしたかった。「そういう人たちを見返してやりたい」。正しい選択だったと証明するためタイトルが必要だった。

 過去CSで勝ち上がった経験のない浦和が、10年ぶりの優勝へ王手をかけた。鹿島に押し込まれても、史上最多タイの年間勝ち点74を積み上げた実力が上回った。試合後、ゴール裏には横断幕が掲げられた。「Jリーグから俺達のシャーレを奪い返そうぜ!真の王者、浦和レッズ」。来季から1ステージ制に戻るため、これが最後のCSとなる。「次に勝たなければ何も始まらないし、何も残らない」と阿部は語り、興梠も「次も勝ちにいかないと。油断できない。全力で戦いたい」と言った。残り90分。最高のフィナーレへ、ラストスパートをかける。

 ▼第2戦(12月3日)での年間王者の行方 アウェーの第1戦を1―0で勝利した年間勝ち点1位の浦和が圧倒的に有利だ。ホームでの第2戦では○か△ならば文句なしで年間王者決定。●の場合でも0―1ならばアウェーゴール数で並ぶが、浦和は年間勝ち点1位のために勝者となる。鹿島は2得点以上マークしてさらに○が絶対条件と厳しい。ただし、今季第1ステージ第15節(6月11日)では埼玉で2―0で勝っているだけに可能性はゼロではない。

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