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岩清水 攻守に躍動!「今に生きる」スラムダンク魂で決勝アシスト

[ 2015年6月29日 05:30 ]

<日本・オーストラリア>後半、もつれ合うようなゴール前の混戦から、岩渕の決勝ゴールをしぶとくアシストする岩清水

女子W杯準々決勝 日本1―0オストラリア

(6月28日 エドモントン)
 なでしこ不屈の守備リーダーが、魂のアシストだ。後半42分、左CKのこぼれ球を宇津木が蹴ってボールが流れると、ゴール前の岩清水が左足で振り抜いたシュートはGK正面を突く。だが、諦めない。相手DFに猛チャージを受け、体勢を崩しながら、今度は右足で岩渕にボールを送った。「取りあえずつなごうと。そこでプレーが終わらないように前に蹴っ飛ばした」。無心で蹴り出し、岩渕の決勝点につなげた。

 気温が30度を超えた消耗戦に体は限界を超えていた。CKの直前、つりそうになっていた左足を伸ばし、何とか持ちこたえる。水を飲みながら、ベンチ前で佐々木監督と話した。「いけるか?」。指揮官の言葉を制し、岩清水は即答した。「大丈夫です」。そして、ピッチに戻って大仕事を成し遂げた。

 前半27分は相手のカウンターに捨て身でブロックし、警告を受けた。センターバックとして決して長身ではない1メートル63の体を何度も投げだし、シュートを阻んだ。これまでの好プレーをフイにはできなかった。

 心に刻む言葉が「“今”に生きる」だという。自ら「教科書」と呼ぶ啓発書「スラムダンク勝利学」(辻秀一著、集英社インターナショナル)の章の一つだ。岩清水も愛読する人気バスケットボール漫画「スラムダンク」の主人公・桜木花道がケガを押して大一番の試合に出場するシーンを例示した勝者の精神。その章を繰り返し読み、言葉を手に書いて、試合に臨むこともある。「今に集中しろってこと。過去は帰ってこないし、未来も取りに行けないから」。そのバイブルは前回大会、そしてカナダにも持ってきている。米国との前回大会決勝で、延長後半に魂のスライディングで失点を救った。人生に1度しかない一発退場だった。今を全力に生きている。だから、今回も岩清水はひるまなかった。

 退場となった前回決勝、勝利を収めたPK戦を見ながら一人で泣いていた。次はピッチ上で優勝の味をかみしめると決めている。「同じ方向を向いている。自分たちに自信が持てている」。連覇の瞬間まで、岩清水は一瞬一瞬に魂を込める。

 ▽SLAM DUNK(スラムダンク) 90~96年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された井上雅彦氏作のバスケットボール漫画。高校から競技を始めた不良少年・桜木花道を主人公に、インターハイ制覇への挑戦や仲間との絆を描く。単行本31巻を刊行し、累計発行部数は約1億2000万部。テレビアニメは93年10月から96年3月まで放送。

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2015年6月29日のニュース