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FIFA汚職 副会長ら7人逮捕 W杯開催国決定の不正疑惑も再燃

[ 2015年5月28日 07:10 ]

会見で報道陣の質問に答えるFIFA広報責任者のグレゴリオ氏

 サッカーの総本山に激震が走った。スイスの司法当局は27日、米司法省の要請により、FIFA副会長2人を含む幹部ら7人を贈収賄容疑で逮捕。米司法省はFIFA関係者9人を含む14人を起訴した。また、スイスの司法当局は18、22年両W杯招致に絡む不正疑惑で捜査を開始したと発表。ゼップ・ブラッター現会長(79=スイス)が5選を目指す会長選を29日に控える中、“金権体質”が批判されてきたFIFAに捜査のメスが入った。

 FIFA会長選と理事会、総会のためにチューリヒ入りしていた疑惑の幹部たちが逮捕された。スイスの司法当局は27日早朝、幹部らが宿泊していた高級ホテルの部屋に踏み込み、7人を拘束。米司法省が公表した名前には、7人いるFIFA副会長のうちウェブ、フィゲレドの両氏が含まれていた。ブラッター会長の名前はなかったが、逮捕されたのは同会長との関係が密接な米大陸の幹部や元幹部たちだった。

 7人は90年代初頭からメディアや代理店から総額1億5000万ドル(約184億5000万円)以上の賄賂を受け取り、放送権やスポンサー権獲得などの便宜を図った疑いで、米当局が20年以上捜査を続けていた。贈収賄は米国の銀行を通じて行われたとみられ、7人の身柄は近日中に米国へ移送される予定だ。

 スイスの司法当局は同日、18年W杯ロシア大会と22年W杯カタール大会の開催決定時における疑惑に関し、容疑者不詳で刑事訴訟を起こしたと発表。FIFA本部からデータを押収し、開催国を決定した10年の理事会で投票した10人を事情聴取することも決めた。FIFAは“被害者”扱いとはいえ、昨年、倫理委員会が作成した調査報告書を公開せず幕引きを図った疑惑が再燃した形だ。現時点で開催地決定の再投票が行われる可能性は低いが、司法の介入は自浄能力に欠ける組織の閉鎖性をあらためて浮き彫りにした。

 緊急会見したFIFAの広報責任者デグレゴリオ氏は、会長選と総会は予定どおり行うと発表。「FIFAのイメージは傷ついたが、クリーンにするという意味では良いこと」と話し、同会長の責任を問う質問には「会長は無関係。W杯も予定通りだ」と強調した。ブラッター会長の再選も確実視されているが、金権体質や独裁体制が招いた新たなスキャンダルで今後信頼を回復するのはあまりにも厳しい。

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