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名波浩氏が授ける必勝策 “日本キラー”カーヒルを封じるためには

[ 2013年6月4日 08:51 ]

練習中、話をするオジェック監督(左)とカーヒル

 ザックジャパンにとって大一番のオーストラリア戦がいよいよ、4日にキックオフを迎える。スポニチ本紙評論家の名波浩氏(40)は警戒する選手にオーストラリアのFWティム・カーヒル(33)を指名。過去、日本代表戦で6試合4得点をマークした「日本キラー」に要注意だ。

 1トップのカーヒルをいかに抑えるかが、オーストラリア戦の最大のポイントになる。身長1メートル78と決して大柄ではないが、打点の高いヘディングと、距離感、方向、速さなどを瞬時に把握する空間認知能力はアジアでNo・1。相手より先にジャンプして空中でボールを待てる滞空時間の長いヘッドには十分に警戒しなければならない。吉田と今野がマークに付く機会が増えると思うが、相手より先に跳んで自分のタイミングでジャンプさせないことが重要になる。ピンポイントのクロスを防ぐために、ロングボールの出どころを抑える前線からの守備も欠かせない。

 攻撃では右サイドを有効に使いたい。本来、日本は香川、長友にトップ下の本田らが絡む左サイドからの崩しが武器。昨年6月12日のアウェーでの対戦でも左から攻める場面が多かった。当然、相手も警戒しており意識が偏ることが予想されるだけに、そこを利用したい。キープ力のある本田が左サイドでタメをつくり、そこから速いサイドチェンジで岡崎らが右サイドを突く形は効果的なはず。ニール、オグネノフスキのセンターバックは一瞬のスピードに対する反応は遅いだけに、裏を突く攻撃も有効。前田があけたスペースに本田、香川らが入っていけばチャンスはつくれる。

 セットプレー絡みの失点が続いていることは気掛かりだ。当たり前のことだが、ポジショニングやマークの確認を徹底しなければならない。あとは責任感や集中力といったハート面。ボールウオッチャーになることや競っているふりをする選手がいるのは問題外だ。大一番ではCKやFKが勝負を左右する可能性が高いだけに、普段以上に集中してもらいたい。

 システムは、ブルガリア戦(5月30日)で機能しなかった3―4―3から4―2―3―1に戻すことが確実視される。結果はもちろん、慣れ親しんだスタイルでの戦い方を取り戻す意味でも重要な位置づけ。ブルガリア戦後には選手がザッケローニ監督に意見をぶつけたようだが、そんなシチュエーションはめったにない。監督の器の大きさを感じるし、これでうまくいかなかったら完全に選手の責任という選手側の心理もプラスに働くことを期待したい。(元日本代表MF)

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2013年6月4日のニュース