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オシム色消える…協会アドバイザー退任へ

[ 2008年12月11日 06:00 ]

 日本代表前監督のイビチャ・オシム氏(67)が日本サッカー協会を離れることになった。今年6月にアドバイザー契約を結んだが、協会は今月末で満了を迎える契約を延長しないことを決めた。11日の理事会を経て発表される。

 昨年11月に急性脳梗塞(こうそく)で倒れて代表監督を退任したオシム氏に対し、協会はアドバイザーとして残留させる形を取った。経験豊富な老将に求めたのは(1)指導者養成と若い世代の選手育成に関するアドバイス(2)海外のさまざまな情報の提供――の2点。だが、主だった仕事は11月の公認S級コーチ養成講習会の特別講師だけ。前日本代表監督の頭脳を有効利用できず、“飼い殺し状態”となった。オシム氏は将来的には現場復帰を望み、複数のJクラブも興味を示している。アドバイザー契約は現場復帰の“足かせ”になるため、苦渋の決断の末に契約更新を見送った。

 10月の再来日後はJリーグの視察を続けており、田嶋専務理事はトヨタ・クラブW杯についても「見に行ってもらう」と話した。ただし、協会の後ろ盾がなくなれば「日本をいい方向に変化させたい」というオシム氏の願いはかなわなくなる。体調面を考えれば早期の現場復帰も不可能。無給となれば日本にとどまる理由はなくなり、自宅のあるオーストリアに戻る可能性も高い。「考えながら走るサッカー」を具現して多大な影響を与えてきた功労者を、日本は手放すことになる。

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2008年12月11日のニュース