郷ひろみ 無垢から進化刻み続け50年、理想へGO!66歳 音楽界の顔は「感謝」胸に走り続ける

[ 2022年9月18日 09:00 ]

素敵な表情を見せてくれた郷ひろみ(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 【俺の顔】8月にレコードデビュー50周年を迎えた歌手の郷ひろみ(66)。年齢を聞いてその顔を見ると、誰もが「若い!」と思うだろう。昨年までNHK紅白歌合戦に34回出場するなど、長く日本の音楽界の顔であり続けてきた。「いろんな人に支えてもらった」という50年間。さまざまな恩人の顔を思い出す。(伊藤 尚平)

 同年代の男性に比べて驚くほど若いルックス。とはいえ、来月18日には67歳を迎える。笑うと目尻に何本ものシワができる。まるで年輪のようだ。

 50年での顔の変化は、これまで発売したシングル108枚のジャケットに刻まれている。「僕自身の変遷ですよね。“ああ、こうだったんだ”って思い出させられることもある。余裕が出てきたのは、50代を過ぎてからだと思いますよ」。108枚を一覧にした資料を見てそう分析する。

 1972年に「男の子女の子」でデビュー。あどけない表情のジャケットを見て「この頃は本当に何も知らないから、無垢(むく)ですよね」と懐かしそうに笑った。

 一番の転機はどの時期か。そう聞くと、ジャケット一覧を見つめて「う~ん…」と長考。「この頃かな」と示したのは、99年の「GOLDFINGER’99」。♪アーチーチー――と歌う代表曲だ。ただ、そのヒットが転機ではない。2002年に充電期間として活動休止し、ニューヨークへ留学。その決心をしたのがこの頃だった。

 3年間の留学で郷は歌い方を変えた。ボーカルトレーナーのドクター・ライリー氏の下、徹底的にボイストレーニングを行った。

 ライリー氏は「歌も常に変化してる。だから、昔はこうでよかったけれども今は違うよ」と郷に説いた。「例えば、ビブラート一つとっても今までと違う。“深いビブラートはもうはやらない。薄く速くなるよ”って。それって、自分のクセを変えなきゃいけないってこと。身に付けたものだし、変えるのは大変。だけど、幅が広がることですから」

 マスターするまでに3年かかったが、得られたのは技術だけではない。「心の柔軟性ですね。僕も変わっていかなきゃいけないし、変わっていくだろうなと思えた」。柔軟さは活動に現れている。昨年は高校生が作った曲「100GO!回の確信犯」を歌い、今年の新曲「ジャンケンポンGO!!」ではロックに挑戦した。柔軟さがあるから、50年間続いたのかもしれない。

 「サラッと50年と言うけど、凄い数字だと思いますね。多くの人に支えられたな、というのが正直な気持ち。近所のおばさんに叱られたことでも“あの人がいなかったら”と思うんですよ」

 50年を振り返ると感謝が尽きない。思い出すのは恩人の顔。デビュー時のプロデューサー・酒井政利さんら鬼籍に入った人も多い。中でも「郷ひろみ」の人生を与えてくれた、ジャニーズ事務所前社長で2019年に死去したジャニー喜多川さん(享年87)への思いは特に強い。

 郷は高1の時に参加した映画のオーディションで、ジャニーさんにスカウトされた。「なぜそこにジャニーさんがいて、声をかけてくれたのか。審査員をやってたのかな。本当に不思議。聞いてみたかったな」と思いを巡らせる。

 思い浮かぶのは厳しいジャニーさんの顔だ。「僕はジャニーさんに一回も褒められたことがないんですよ。でも、愛情たっぷりに育ててもらった」

 ひろみ、あんな動きはダメだよ。立ってる時はこうしなさい。はける時にピンスポットが当たってなくても、こうするんだよ…。1から10まで、プロの歌手たるものを教えてもらった。「それが今も僕の中で生きてるんですよ」。50年たった今も、ジャニーさんの教えは根元にある。

 立ち続けたステージを去るのは、歌えなくなった時と決めている。少しでも長く続けたい。だから、週3回ジムに通い、ボイトレをする。

 「郷ひろみという人間がいて、僕は横にいるんだろうなって思うんです。郷ひろみは進化していて、僕は一生懸命ついていってる。うまく言えないんだけど、離されることなく、一緒にずっと歩いていきたいなっていうのが今の目標なんです」

 それはきっと、理想の郷ひろみを今も追い求めているということ。まだ、前に進み続けている。

 《12・26記念ライブ 武道館で「50曲」》現在は4月にスタートした50周年記念の全国ツアー中。コロナ下でファンは歓声を制限されているが「マスクをしていても笑顔は伝わる。僕はステージに立てること自体が幸せ」と喜びを持って歌っている。11月まで50公演以上を行い、さらに12月には内容の異なるツアーを11公演予定している。そして12月26日に東京・日本武道館で締めくくりの50周年記念ライブを行う。「武道館では50曲歌いますよ。楽しみにしていてください」と意欲十分だ。

 ◇郷 ひろみ(ごう・ひろみ、本名原武裕美=はらたけ・ひろみ)1955年(昭30)10月18日生まれ、福岡県出身の66歳。72年にデビュー。西城秀樹さん、野口五郎と3人で「新御三家」と呼ばれる人気に。ヒット曲は「お嫁サンバ」「2億4千万の瞳」など。俳優としてはドラマ「ムー一族」などに出演。紅白歌合戦では歴代最多の7度の白組トップバッターを務めている。血液型A。

続きを表示

2022年9月18日のニュース