藤井3冠 最年少4冠へ好スタート、豊島竜王に逆転先勝 難敵と9勝9敗のタイに

[ 2021年10月10日 05:30 ]

第34期竜王戦七番勝負第1局、豊島将之竜王(右)に勝利し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太三冠
Photo By 代表撮影

 将棋の第34期竜王戦7番勝負は9日、東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で第1局が指し継がれ、挑戦者の藤井聡太3冠(19)=王位、叡王、棋聖=が3連覇を狙う豊島将之竜王(31)に123手で先勝した。第2局は22、23日に京都市の仁和寺で行われる。

 豊島相手に勝利をつかみ取るというのは、どれだけ難儀なのだろう。全身全霊を傾けて相手を投了させた藤井はさすがに疲労の色を隠せなかった。「自信のない展開で一手一手が難しかった。(封じ手の時点で)失敗したなと思っていました」。中盤から徐々にポイントを失って悪戦苦闘の終盤へ。2枚飛車で左辺から攻め込まれながら、守りの角で飛車の1枚をはがし、その戦利品を敵陣の一段目に打ち込んで潮目を変える。腕力だけで体を入れ替え、以降は攻め合いだ。

 勢いに任せて敵陣に迫る。途中で受けに転じる場面もあったが、最終盤は強気の指し回しを連発。「自信のない局面が長かったのですが、その中で粘り強く指せたのかなと思います」。最後は3枚の桂が美しく連動して相手王を封じ込めていた。

 豊島とは今夏の王位戦7番勝負、叡王戦5番勝負に続く「19番勝負」に突入した。昨年まではデビュー以来6連敗と、最も苦手とする相手。それが今年に入って激変する。王位は4勝1敗で防衛、そして叡王は3勝2敗で奪取。気がつけばこの日の勝利で通算成績はついに9勝9敗のタイになった。タイトル戦だけで8勝3敗。自身の成長曲線そのままに星を盛り返す。もはや豊島は「天敵」ではない。数多い「好敵手」の一人と言っていいだろう。

 初出場の竜王戦で白星発進。「能楽堂での対局で普段以上に緊張感があった。その中で1勝できて…はい、また次に全力を尽くそうと思います」と意欲を示す藤井にとって年内4冠(=最年少4冠)へのマジックは3に減った。

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2021年10月10日のニュース