千葉真一さん 「映画バカ」貫いた人生、決して立ち止まらず「いつかチャンスはくる」

[ 2021年8月20日 05:30 ]

千葉真一さん急死

93年、JACの若手に殺陣の指導をする千葉真一さん(右)
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 【悼む】あまりに突然の知らせに現実を受け止め切れていないが、いい意味で「映画バカ」を貫いた人生だったと思う。初めて会ったのは93年、主演する米映画「リゾート・トゥ・キル」のロケで訪れたメキシコ。撮影が終わると連日、JACのメンバーとともに酒を酌み交わしながらアクションや殺陣の“談議”を興味深く聞いた。翌朝に必ずあった朝練はさすがにきつかったが…。

 その後も会うたびに、自らが目指す映画の構想を伺った。岩倉使節団が米のロッキー山脈でインディアンと遭遇するアクションや、第二次世界大戦の沖縄戦線の実話を基にした人間ドラマなど、その発想はどれも壮大で予算がかかりそうなものばかり。脚本を執筆中のホテルに呼ばれ助言を求められたこともある。どれも実現することはなかったが「いつかチャンスはくる。必ずやり遂げるからね」と決して立ち止まることをしなかった。

 ロスの自宅を訪ねれば、必ず「将軍家光の乱心 激突」など出演作を一緒に観賞。1シーンごと弁士のように解説してくれる「特典」は忘れられない思い出だ。2人の息子が同じ年齢ということもあり、子育て論をぶつけ合うこともあった。

 昨年9月以降はコロナ禍で会うことはできず、今年3月に電話をした際「マッケン(真剣佑)も米国での仕事が決まってね。俺にも具体的になりそうな企画があるんだよ。ゆっくり話したいね」と声を弾ませていたのが最後の会話になってしまった。本人の無念さは推し量れない。(映画担当・鈴木 元)

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2021年8月20日のニュース