42.195キロは「王妃のわがまま」が起源

[ 2021年8月7日 05:30 ]

伊沢拓司
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 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(15)】五輪が起源の種目であるマラソンが7日に女子、8日に男子の順で行われます。

 「マラソン」という競技名は、ギリシャ軍兵士がペルシャ軍撃退を報告するため「マラトン」からアテネまで約40キロを走ったという故事にちなんだもの。到着した兵士は「我が軍勝てり」と叫び、息絶えたと言い伝えられています。この伝説を愛するアテネ市民のため、第1回の1896年アテネ大会で考案・実施されました。

 ところでマラソンはなぜ、42.195キロという中途半端な距離なのでしょうか。この距離で初めて実施されたのは第4回の1908年ロンドン大会。諸説ある中で最も有力なのは、英国王妃の“わがまま説”です。当初は26マイル(41.8キロ)で設定されていましたが、アレクサンドラ王妃が「城の窓から見たい」などと願い出て、距離が少し延長されたというものです。

 第1~7回まで大会ごとに距離にばらつきがありましたが、第8回の24年パリ大会で現行距離となります。ロンドン大会後に42.195キロを走る国際的なマラソン大会が数多く開かれたため、その実績を世界陸連が評価して定めたものでした。

 距離が定まっていない間には“キセル事件”も起きました。39.9キロだった04年セントルイス大会。猛暑でバテていた米国選手が通りすがりの自動車に乗せてもらい、途中で降りて走りだしトップでゴール。しかし、運転手の証言で暴露され、五輪から永久追放されました。

 マラソンの歴史は五輪の歴史。さまざまな波乱が起こるこの人気競技、今大会では何が待ち受けるのでしょうか?

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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