藤井聡太棋聖「渡辺王将は作戦が巧みな印象」「しっかり対応したい」 棋聖戦前日会見

[ 2021年6月5日 18:56 ]

対局室で検分する藤井聡太棋聖(右)と渡辺明名人(代表撮影)
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 将棋の第92期棋聖戦5番勝負第1局(6日)前日の5日、初防衛戦となる藤井聡太棋聖(18)=王位との2冠=、挑戦者の渡辺明王将(37)=名人、棋王との3冠=が千葉県木更津市・龍宮城スパホテル三日月内の対局場を検分。その後、交互に記者会見に臨み、タイトル戦への意気込みを語った。

 【藤井棋聖との一問一答】

 ――昨年の棋聖獲得からの1年を振り返ると?
 「(王位との2冠奪取など)結果を出せることができ、成長した1年だったと思います」

 ――昨年の5番勝負直前と現在の心境の違いは?
 「昨年は挑戦権獲得からすぐにタイトル戦だったので、自分としてはタイトルを意識することなかったんですが、今回はタイトルホルダーの立場できょうを迎え、気持ちが高まってきたかなと思います」

 ――挑戦者決定後、約1カ月。準備は十分?
 「自分なりにしっかり取り組むことが出来たと思います」

 ――その挑戦者・渡辺王将を迎える心境は?
 「渡辺名人は今年の名人戦も防衛され、大変充実している印象。挑戦者決定戦も途中苦しい場面から粘り強く指されていた。番勝負では作戦が巧みな印象があり、そこで後れをとらないようにしっかり対応したいかなと」

 ――シリーズを通しての戦略は?
 「戦略については渡辺名人に一日の長がある。それに対してこちらがしっかり考えて戦っていければと思っています」

 ――直近の対局では苦しい戦いが続いているが、現在の調子としては?
 「結果的には状態がいいわけではないですが、棋聖戦の開幕が決まってからはコンディションを整えていければと思っています。自分自身の気持ちも高めて明日を迎えればと」

 ――今月下旬には王位戦も開幕。タイトル戦は最多で12番勝負となるが。
 「渡辺名人と豊島(将之)竜王との対戦になるので、自分自身楽しみ。成長できる機会にしたいです」

 ――タイトルは防衛して一人前と言われるが?
 「(ほほえみみながら)防衛戦は初めて。挑戦者と違う面はあるのでしょうけど、自分としてはそういう違いは意識せずに臨めればと思います」

 ――持ち時間4時間の対策は?
 「昨年のことを少し思い出しながらやっていきたいです」
 
 【渡辺王将との一問一答】
 ――昨年の棋聖失冠後の1年について?
 「昨年の棋聖戦で初めて藤井さんと対戦し、負けてしまっているので、一年越しにこうして戦える機会がきたのはうれしく思っています。タイトルを(3つ)持ったまま藤井さんと再戦できる状況にもってこれたのはよかった」

 ――4冠を狙う立場だが?
 「状態に変わりはないが、藤井さんと一年ぶりの番勝負。昨年負けてしまったので、この1年でどういった変化をつけられるかの勝負になってくると思います」

 ――昨年は名人戦とのダブルヘッダー、今年は名人戦は防衛で終了。なにか有利な面がある?
 「タイトル戦を並行して戦うのはよくあること。特別厳しかったことはない。今年は先週の名人戦を終えてから棋聖戦の準備を始めた。ここからより番勝負に時間をかけて、作戦を構築していければというところはあります」

 ――前回の3冠保持時と現在でなにか違いは?
 「成績的には20代後半に3冠までいって、その時との比較では、やっている将棋のアプローチ全然が違う。比較は難しいが、20代後半は読みのスピードと経験がマッチしていた。今は今でまたその時とは違うやり方でフィットして成績的にでるようになった。それぞれ要因が違う。今は37歳なので、今の状態をどれぐらい続けられるかを考えています」

 ――今5番勝負のどういうところを見てもらいたい?
 「昨年はすごい反響の大きいシリーズ。印象に残る手がいくつかあり、名局賞をとった将棋もあった。今年もそういった番勝負を目指していきたい。藤井さんはこれだけ注目されて、タイトル2つ取られて、押しも押されもせぬトップ棋士。自分もタイトル3つ持ついい状態で、その技術的なところに注目してもらいたい。将棋ファンの期待に応える将棋をさしていかなければ」

 ――昨年と立場が違うことによる気持ちの違いをもう少しうかがえれば。
 「昨年は藤井さんがタイトルを持ってなかった。挑戦者と受ける側の構図があった。そこから藤井さんはタイトルを2つ取られた。この1年で成長したので、今回はフラットな戦いになるのでは。昨年は藤井さんが実力に地位が追いついてこない状況。そういった違いがあるかな。それが盤上の技術にすごく影響するとは思わないが、ここから先はお互いトップ棋士同士でフラットな戦いになる。今回はその始まりの位置づけになるかなと思います」

 ――きょう、久しぶりに藤井棋聖と対面し、なにか変化は感じた?
 「今のところはまだそんなに…検分ぐらいでしか見ていないので。あした一日、将棋盤を挟んで対戦するので、去年との違いとかは感じるのかなとは思う。今のところ去年との違いは把握していません」

 ――シリーズでの戦略的なものは?
 「藤井さん相手に特化した作戦はないんですが、ここまでやってきた自分の指し方を出すのと、このシリーズが進んでいく中で最近の藤井さんの特徴をつかんで出していければいいでしょうけど。あくまで普段どおりやって、それでどこまでいけるか。少ないチャンスをつかみたい。そんなにたくさんチャンスボールは来ないと思いますが、まあ好球必打ということで向かっていきたい」

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