選考委員・北方謙三氏、NEWS加藤“落選”も絶賛「もう一作くらい待ってみようと」

[ 2021年1月21日 05:31 ]

北方謙三氏
Photo By スポニチ

 第164回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(「文芸」秋季号)、直木賞は西條奈加さん(56)の「心淋(うらさび)し川」(集英社)に決まった。直木賞で「オルタネート」が初めて候補作となったアイドルグループ「NEWS」の加藤シゲアキ(33)は受賞を逃した。

 選考委員を務めたハードボイルド界の巨匠・北方謙三氏(73)は、加藤の作品について「加藤シゲアキに直木賞を受賞させようという機運をまとった意思は2、3あった。私もその一人」と明かした。

 全6作品ある候補作の中、事前投票をして加藤を含む4作品が最終候補に残った。その中で議論を重ねた結果、決選投票では圧倒的票数で西條氏の作品が選ばれたというが、北方氏個人は加藤を推していた。「(表現が)冗漫ではないかという意見もあった。もう一作くらい待ってみようということでした」と“落選”の理由を説明した。

 自身の意見としては「青春小説としてよく書けていると思った」と評価。「何が足りなかったか、明確に指摘できるような欠点はない。途中からどんどんスピード感が出てきて、物語の破綻がどこにもない」と絶賛した。「どこか表現を突き抜けて、深いところに“ドーン”と入ってくる小説を書いてほしい」と大作家からこれ以上ないほどのエールを送った。

続きを表示

この記事のフォト

2021年1月21日のニュース