巨人VS阪神開幕戦 日テレ・田辺アナ、コロナ時代の新実況に意気込み「覚悟を持って」

[ 2020年6月18日 05:30 ]

プロ野球開幕戦・巨人-阪神戦の実況を担当する日本テレビの田辺研一郎アナウンサー。手に持ったノートに球団や選手に関する情報がビッシリ詰まっている
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 新型コロナウイルスの影響で延期されていたプロ野球が19日に開幕する。当面は無観客での試合で、これは実況アナウンサーにとっても未知の世界だ。日本テレビが生中継する開幕戦・巨人―阪神の実況は、同局の田辺研一郎アナウンサー(42)が務める。熱のこもった中継にすべく「ソーシャルディスタンスを感じさせない実況にしたい」と意気込んでいる。

 プロ野球史上初となる無観客での公式戦。田辺アナは「誰もやったことがない実況なので、不安はあります。でも、自分の力以上のものは出せない。巨人の菅野智之投手が“腹をくくって投げる”と言っていたので、私も覚悟を持ってやりたい」と力を込めた。

 既に練習試合2戦で無観客での実況を経験。難しさを感じた部分もある。特に本塁打の場面。「入った!」と遅れずに言えるかどうかがポイントだ。

 「通常はお客さんの中にボールが入っていく。その時に一瞬、人が集まるような感じになる。そのタイミングを見ながら“入った!”と言うんです。無観客だと、最前列なのか、中段なのか、どこに入ったのかも分かりづらい」。実況歴20年で経験したことのなかった新たな課題。“新しい実況様式”を組み立てることが急務だ。

 無観客だが「気持ちは5万人の観客がいるつもりで実況する」と決めている。選手もファンを意識して戦っている。それを感じたのが巨人・丸の振る舞いだった。今月7日の練習試合・ヤクルト戦。2回に本塁打を放った際「丸ポーズ」をテレビカメラに向けて見せた。「これって普段はやらないことなんです。やっぱり選手はファンに向けてプレーしているんだと思いました。そういう瞬間を逃さずに伝えたいですね」

 実況席も新様式。飛沫(ひまつ)感染防止のアクリル板を設置し、解説の巨人前監督・高橋由伸氏ともソーシャルディスタンスの維持を徹底して臨む。静かな球場では、音にも注目が集まるが「菅野投手の150キロの直球がミットに収まる乾いた音。これは皆さんにぜひ聞かせたい。音声さんとのチームワークも大事ですね」と話した。

 「生観戦できない人に試合を届ける」ということは、スポーツ中継や実況の原点でもある。「テレビやタブレットで見る方に、臨場感、緊迫感をしっかり届けたい。生で試合を見ることができる数少ない立場なので、使命感も感じてます。伝える側の熱だけは、ソーシャルディスタンスを感じさせないようにしたい」。プレーボールの第一声から全力で伝える。

 ◆田辺 研一郎(たなべ・けんいちろう)1977年(昭52)12月12日生まれ、神奈川県出身の42歳。00年に日本テレビ入社。スポーツ全般を担当し、12年ロンドン五輪ではサッカーや自転車などを実況。サッカーW杯では14年、18年の2大会連続で日本代表戦を担当した。サッカーを慶大までプレーし、ポジションはGK。1メートル75。血液型A。

 《“相棒”に情報ビッシリ》田辺アナが手にするノートは実況の“相棒”だ。選手の昨年の成績など、細かな情報が小さな字でビッシリと書かれている。「全て頭に入ってるので、実況中に詳細な数字などを確認したい時に見る」という。例えば、阪神の岩崎に関するデータ。「巨人打線は岩崎優投手の攻略に苦労してますが、石川慎吾外野手は昨年は6打数3安打で5割。そのうち1本は大きな当たりの本塁打。岩崎投手の時に石川選手が出てきたらワクワク感がありますよね。こうした情報を伝えていきたい」と話している。

 《通常カメラ置けない観客席から迫力映像》日本テレビの巨人戦中継では「無観客だからこそ」の映像を届ける。通常はカメラを置くことができない東京ドームの観客席にカメラを設置。バックネット裏の最前列と、ファウルグラウンドにせり出したエキサイトシート(一塁側)の最前列で、グラウンドにより近い位置から迫力の映像をお届けする。また、安全対策のため中継に関わる人員を減らして対応するといい、中継カメラの台数も普段より減るという。
 

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