藤井聡太七段、最年少タイトル挑戦へ王手! 53日ぶり公式戦で佐藤天彦九段を撃破

[ 2020年6月3日 05:30 ]

佐藤天彦九段(右)と対局した藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
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 史上最年少棋士が快挙まであと1勝に迫った。将棋の藤井聡太七段(17)は2日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた棋聖戦決勝トーナメント準決勝で佐藤天彦九段(32)を破った。4日の決勝では永瀬拓矢2冠(27)と対戦。勝てば8日開幕の5番勝負出場が決まり、タイトル戦出場の史上最年少17歳10カ月20日を樹立する。

 圧勝だった。昨期まで名人位を3連覇した強豪に、指一本触れさせない。「結構激しい変化の多い将棋でしたが、全体的には手厚く指せたと思います」。藤井は落ち着いた口調で111手の快勝劇を振り返った。

 幸先よく先手を得て、前半は互角状態が続く。昼食休憩を挟んで佐藤が68分の長考を敢行し、持ち時間で一気に優位に立った藤井。それでもその3手後に57分の長考を返すなど、時間面でのリードを保持せず、重厚な戦いに自らを押し込んだ。気がつけば中盤以降は真綿で首を絞め付けるように前名人を追い詰める。最終盤は緩手の一手すらないパーフェクトな追い込みだった。

 愛知県瀬戸市在住のため、緊急事態宣言中の対局は全て延期。4月10日に関西将棋会館で行われた菅井竜也八段戦(王位戦挑戦者決定リーグ白組)で勝って以来、自身最長となる53日ぶりの対局を強いられた。しかし長期のブランクを無為に過ごしてはいない。「その間に普段以上に将棋に取り組めた面もあるのかなと」。自宅待機の間に自分自身のスペックを大幅にアップさせていた。

 対照的に中1日で臨む4日の決勝。相手は普段から練習将棋を指す永瀬に決まった。「強さは十分に分かっているので、自分はしっかりとした将棋を指したい」。叡王と王座の2冠を保持する棋界の顔に臆せず挑む。一方で永瀬は藤井について「実力をしっかり出せる方。凡局がほぼない。それは凄い方なので」と警戒心を隠さない。

 渡辺明棋聖(36)=王将・棋王との3冠=への挑戦権を争う4日の激突。藤井が勝てば屋敷伸之九段(48)の持つタイトル戦出場最年少記録(17歳10カ月24日)を4日更新することになる。「大変な状況ではありますけど、自分はいい将棋を指すことが自分の務めかなと思っています」。厭戦(えんせん)気分に満ちた世間の耳と目が、再び藤井へと注がれる。

 《コロナ感染対策を徹底》日本将棋連盟では4月以降、対局場での新型コロナウイルス感染対策に力を入れている。棋士の長距離移動を伴う対局は緊急事態宣言を受け全て延期。対局者には朝の検温を義務付け、感染に似た症状がある場合は対局を原則延期する措置を取った。各棋士、記録係はマスクを着用。対局場は1部屋1局に制限し、窓を開放して常時換気に努め、感想戦は極力短時間で終了することになった。注目度の高い対局は代表取材方式を採用。今月からは1部屋2局実施となったが、それ以外は緊急事態時同様の対応策を講じている。

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