藤井七段“名人の壁”リーグ戦初黒星 終盤まで難解局面続き勝ち筋見つけられず

[ 2019年10月8日 05:30 ]

豊島名人に敗れ、がっくりと肩を落とす藤井七段(撮影・平嶋 理子)
Photo By スポニチ

 最年少プロ棋士の藤井聡太七段(17)が7日、大阪市の関西将棋会館で指された第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ2回戦で豊島将之名人(29)に171手で敗れて初黒星を喫した。これでリーグ戦は1勝1敗。豊島にはこれで公式戦4連敗で、名人にまたしてもはね返された。

 最後まで決して諦めなかった。自王の詰みが見えてからも指し続けた。そして心の整理をつけるように、ウエットティッシュで顔を拭ってから「負けました」と静かに頭を下げた藤井。終局後はさすがにガックリとうなだれたが、持ち時間を使い尽くした名人相手の171手の大激戦は成長の大きな証だ。

 将棋ソフトを駆使するAI将棋の申し子同士として比較されることも多いが、戦績は3戦全敗と実力差を痛感させられてきた相手。ただ、この日は終盤まで、どちらが優位か分からない難解な局面が続いた。そこで必死に勝ち筋を探したが見つけられなかった。「難しくて、よく分からなかった。自分の足りないところが出てしまった結果」。最後は“4連敗”を受け止めた。

 渡辺明王将(棋王・棋聖=35)への挑戦権獲得を目指すリーグ戦は7人による総当たりで実施される。この成績が日本将棋連盟のホームページで確認できる第50期以降の過去19期で、予選からの勝ち上がり組(3人。今回は羽生、三浦、藤井が該当)が挑戦者になれたのはわずか3回だ。

 3回のうち2回は5勝1敗で挑戦者になったが、残す1回の4勝2敗は、7人中5人が3勝3敗という空前の大混戦となったレアケース。データからは、あと1敗を喫すれば、実質的に挑戦者の座が厳しくなるのは一目瞭然だ。

 屋敷伸之九段(47)の持つタイトル戦出場最年少記録は17歳10カ月。王将戦でこれを更新するには、まずは18日の元竜王・糸谷哲郎八段(31)、21日の“棋界のレジェンド”羽生善治九段(49)との対決はどちらも負けられない戦いとなる。「一局一局全力を尽くして戦っていければ」。心はまだ折れていない。天才棋士の熱い挑戦はまだまだ続く。

 ▽王将戦の挑戦者決定リーグ 例年9~11月に実施。シードされた前期リーグ上位4人(順位1~4位)と、予選を勝ち上がった3人(同5位)で争う。リーグ戦で同率首位が複数出た場合は原則として順位上位2人による1局だけのプレーオフが行われ、挑戦者を決める。

 《験担ぎ同メニュー 勝負のギョーザも》昼食はギョーザチェーン「大阪王将」を全国展開する特別協賛のイートアンドが提供。大阪市内の本店内で調理したものが会館へ配達された。藤井は験を担いだのか、先月30日の同リーグ1回戦で三浦弘行九段(45)と対戦した時と同じ「魅惑の肉あんかけニラ玉炒飯(チャーハン)」を注文。「復刻創業餃子(ギョーザ)」も追加していた。

続きを表示

この記事のフォト

2019年10月8日のニュース