「いだてん」野口役の永山絢斗 異例の十種競技挑戦!全種目「厄介」も練習1年以上「晴れ舞台」膝痛なんの

[ 2019年5月26日 10:00 ]

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で十種競技に挑戦した永山絢斗(左列上から100メートル、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル。右列上から110メートル障害、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500メートル)(C)NHK
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 俳優の永山絢斗(30)がNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(日曜後8・00)で陸上の十種競技に挑戦した。26日放送の第20話は、永山演じる野口源三郎が1920年(大9)のアントワープ五輪・十種競技に出場。1年以上のトレーニングを重ね、膝を痛めながらも実際に全種目にチャレンジした永山は「撮影はやり投げだけという話が、クランクインしてから十種競技をすべて実際にやっているところを撮影したいと言われ、これは厄介なことになったなぁと思いました」と苦笑いで振り返った。ドラマや映画で十種競技に挑んだ俳優は珍しい。

 歌舞伎俳優の中村勘九郎(37)が前半の主演を務める大河ドラマ58作目。2013年前期の連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした脚本家の宮藤官九郎氏(48)が大河脚本に初挑戦し、オリジナル作品を手掛ける。20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。

 永山演じる野口は、主人公・四三(勘九郎)の後輩で、日本初の五輪予選は四三とともにマラソンに参加。アントワープ五輪は主将として出場した。現役引退後には大日本体育協会の理事となり、スポーツが日本全国へと広がる立役者となる。

 第20話は、アントワープ五輪の出場選手を決める会議で、野口が十種競技への出場を申し出る。そのシーンで、全種目に挑む映像が流れる。十種競技は1日目に100メートル、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル、2日目に110メートル障害、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500メートルを行い、合計得点で競う。オールラウンドの能力を持つ優勝者は「キング・オブ・アスリート」と呼ばれ、最大級に称賛される。

 NHKによると、永山は17年12月から、クランクイン前の18年3月まで4カ月、集中的に練習。クランクイン後も撮影と並行し、筑波大学でトレーニング。やり投げが最も難しいため、投てき種目の練習からスタートし、18年秋からハードルなどジャンプが入る種目の特訓に入った。途中、間が空いた時期もあったが、19年2月に行われた十種競技の撮影に向け、しっかり“復習”。結果的に練習は1年以上に及んだ。スタッフは「永山さんにお会いするたびに、洋服がパンパンになっていきました」と証言した。

 1年以上にわたるトレーニングのうち、フォームにより経験の有無が一目で分かる投てき種目に大半の時間を割いた。スタッフは「やり投げは特に感覚をつかむまでが難しく、きれいに地面に刺さるようになるまで大変苦労されていました。しかし、指導にあたった先生から『とてもセンスが良い』と頻繁に言われるほど、永山さんは上達が早く、感覚をつかんでからは、どんどん地面に刺さるようになりました。走り高跳びにいたっては、野口源三郎さんが実際にアントワープ五輪で跳んだ高さに並ぶ記録を出し、みんなを驚かせました」と舞台裏を明かした。

 永山は「十種競技の存在は知っていましたが、競技名すべては言えないレベルでした」という段階からのチャレンジ。「撮影はやり投げだけという話が、クランクインしてから十種競技をすべて実際にやっているところを撮影したいと言われ、想像がつかないですが、とにかくこれは厄介なことになったなぁと思いました」と苦笑いしながらも「すべての競技が大変で難しく、改めてデカスロンの凄さを思い知りました」と実感した。

 「筑波大学の先生方に、全競技のフォームや筋肉の使い方、歴史などを丁寧に教えていただき、十種競技の素晴らしさを知ることができ、先生方には感謝しています。自分が筑波大学で練習している時は、周りにも生徒さんたちが励んでいたのですが、皆さん、とてもいい顔をしていました。普段知ることのできない世界を見ることができて、とても良い経験でした。見方が変わったので、オリンピックが楽しみになってきました。一生懸命やりました。実際の野口先生にはもちろん到底及びませんが、どうか私の演じる野口の晴れ舞台です。見てください」と呼び掛けた。

 十種競技全種目の競技シーンは数日間のロケとスタジオ収録で撮影。スタッフは「まさに体力の限界への挑戦、いつも一発勝負の緊張感がありました。十種競技のための身体づくりは相当過酷だったと思います。野口源三郎さんご本人の写真が残っていますが、かなり体格が良い。そのイメージを崩さないようにという責任感もあったのだと思います」と振り返る。

 第20話の演出を担当した大根仁監督(50)も「『いだてん』では、アスリートを演じる役者は皆、長い時間をかけて体づくりやトレーニングを重ねて撮影に臨んでいますが、絢斗が演じた野口の十種競技は一番大変だったかもしれません」と口を揃え「しかも使われるのは短い点描シーンのみ。絢斗は自分から言わないと思うので、代わりに僕が言いますが、練習~撮影中の期間、絢斗はずっと膝を痛めていました。それなのに、一切愚痴や弱音を言わずにやり遂げたことは本当に尊敬します」と絶賛。放送終了後には、大根監督が企画・編集した本編未公開映像を含む約4分のスペシャル動画が番組公式サイトにアップされ「やむを得ずカットしてしまったシーンを含めて、野口=絢斗の晴れ舞台、是非ご覧ください」とアピールしている。

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2019年5月26日のニュース