スピード感、ジワジワ…「リーガルV」「SUITS/スーツ」違った趣向で見せる“弁護士ドラマ”

[ 2018年11月18日 06:30 ]

フジテレビ「SUITS/スーツ」に出演する織田裕二(左)と鈴木保奈美
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 最近注目のテレビドラマの傾向と言えば“弁護士”だろう。この秋ドラマでは、米倉涼子主演の「リーガルV 元弁護士・小島遊翔子」(テレビ朝日系、毎週木曜午後9時)と、織田裕二主演の「SUITS/スーツ」(フジテレビ系、毎週月曜午後9時)が放送中で、いずれも好調だ。だが同じ“弁護士ドラマ”でも、視聴者が満足している視点は異なっている。

 「リーガルV」は型破りな主人公、個性豊かな仲間、対立する大手弁護士事務所の面々など、同じく米倉主演の「ドクターX」を連想させる設定だが、それが視聴者の満足度を高めている。

 テレビの視聴状況を独自に調査しているエイト社「テレビ視聴しつ」(東京、調査対象960人)の10月度満足度調査によると、「ドクターXとかぶる部分もあるが、テンポもよく面白い」(55歳女性)、「THE米倉涼子。大門未知子とキャラは同じでも違和感がなく、もちろん内容も面白い」(48歳男性)、「米倉さんは期待を裏切らない」(56歳女性)など、「ドクター…」の良い部分を踏襲しているからこそ安心感が生まれ、満足度は4・00(5段階評価)と高満足度の基準3・7を上回る高数値を記録している。「スピード感があっていい」(52歳女性)、「一話ごとにガンガン進んでいく感じが爽快」(48歳女性)など、スピーディーで爽快なストーリー展開も高満足度の要因となっている。

 一方 “スピード感”の「リーガルV」とは対照的に、“ジワジワ”と視聴者の心をつかんでいるのが「SUITS/スーツ」だ。シーズン7まで続くアメリカの人気シリーズのリメイクで、傲慢な性格だが自他ともに認める優秀な弁護士の主人公と、経歴を偽り弁護士となった驚異的な記憶力を持つ青年がバディを組むことからはじまる。主人公は時に違法行為ギリギリの手段を用いる型破りで、そのパートナーも記憶力に長けた天才という、それぞれ個性の強いキャラクターなのだが、それを強調する作りではなく、過去の過ちから社会とうまくつながることのできなかった青年が、信頼できる上司からの助言や後押しによって徐々に成長を遂げていくという人間ドラマの側面が色濃い。

 そのため物語序盤から中盤の満足度は3・66と高満足度には届いていないが、「主人公の新人教育方法が面白い」(74歳男性)、「毎回、キャラクター同士の関係が微妙に変化していくのが楽しい」(53歳男性)、「中島裕翔が成長していく姿が、なんか好き」(19歳女性)など、関係性の変化やキャラクターが成長していく様を楽しんでいる様子がうかがえ、ドラマ後半に向けてジワジワと期待値は高まっている。

 来年1月スタートのドラマでも、常盤貴子主演「グッドワイフ」(TBS系、日曜午後9時)や、竹内結子主演「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」(フジテレビ系、毎週木曜午後10時)など弁護士ドラマが控えている。新たな面白さを引き出し視聴者の支持を得ることができれば、“弁護士ドラマ”は刑事や医者に続く新たな潮流になりそうだ。

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2018年11月18日のニュース