没後20年 輝き続けるhideさん…ファン描く異色舞台3・9開幕

[ 2017年2月28日 10:05 ]

舞台「僕らのピンクスパイダー」に主演する松本岳(中)と劇団TEAM−ODACのいとう大樹、演出の笠原哲平氏
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 元X JAPANのhideさんをテーマにした舞台「僕らのピンクスパイダー」が、3月9日から20日まで東京・紀伊国屋ホールで上演される。98年5月2日に亡くなって没後20年。カリスマだったhideさんの魅力はさまざまな角度から語られているが、劇団TEAM―ODACが主宰する同舞台は、hideさんを慕うファンの心の中にスポットを当てた異色作だ。

 劇団はサイトなどを通じてたくさんのファンからアンケート形式で、hideさんへの思いを募った。時代を共有した40代もいれば、亡くなってからファンになった10代もいた。「親に影響を受けてファンになった」と記した20代もいた。集まったアンケートを眺めながら、脚本・演出を担当する笠原哲平氏は「何となく浮かび上がってきたのは、もっと一緒に遊びたかったのになんでもういないの?という思いでしたね」と、ファンの中に残る気持ちを感じ取った。

 物語は主人公・小山秀吉の恋愛を軸に、10代から40代の各世代のhideファンを描く青春群像劇。それぞれ生きていくうえで問題を抱えているが、共通しているのはhideさんへの「いてくれたらもっと楽しかったのに」という思い。しかし、喪失感を感じながらも盲目的な信仰や極度の依存によって現実逃避をすることはない。

 「アンケートを見ていると、hideちゃんと呼んでいる人がとても多いんです。きっと、ファンにとって崇めるようなロックスターというよりは肉親のように寄り添ってくれる存在なんでしょうね。そんなhideさんを糧に今を生きようとする人たちを描きたかった」と笠原氏。

 気になるのはファンの人たちの反応だ。「こんなこと思ったことないとか、ファンの人からの批判もあるでしょう。ただ、hideさんの優しさがにじみ出るようにはしたい」と意気込んでいる。

 主演を務める俳優の松本岳(24)は「手裏剣戦隊ニンニンジャー」などに出演するホープ。松本も中学時代にhideさんに触れてロックを聴くようになった。「死ぬ気でやっても死なないから、というhideさんの言葉は今もすごく僕の中で残っています」と傾倒してきただけにプレッシャーも大きいが、「やりがいがあります」と現在も猛稽古している。

 音楽と演劇というジャンルを超え、さらには世代間も超えて魅了し続ける稀代のミュージシャン。亡くなって20年がたってもhideさんは輝き続けている。

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2017年2月28日のニュース