芸能界、形骸化する薬物対策 タレントに口頭確認「回答信じるしか…」

[ 2016年12月10日 12:30 ]

2月2日逮捕 清原和博元選手
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 押尾学(38)、酒井法子(45)が相次いで逮捕された2009年から7年。根絶を誓ったはずの芸能界は16年、年明けから年末まで薬物に揺れた。

 2月上旬、プロ野球の西武、巨人などでプレーし、引退後はタレントとして活動していた清原和博元選手(49)が、覚せい剤取締法違反(所持)の容疑で逮捕されたのを皮切りに、6月に女優・高島礼子(52)の元夫で俳優だった高知東生氏(51)、11月に「CHAGE and ASKA」のASKA(本名宮崎重明)容疑者(58)=14年に続き再逮捕=ら覚醒剤の所持、使用での逮捕が相次いだ。

 覚醒剤以外にも汚染は広がった。10月には元女優の高樹沙耶(本名益戸育江)被告(53)が大麻取締法違反(所持)の疑いで、11月には危険ドラッグを所持していたとして、酒井の元夫で無職高相祐一容疑者(48)が、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いでそれぞれ逮捕。薬物に絡む事件の件数も、薬物の種類も急激に膨れ上がった。

 09年の事件を教訓に、芸能界では薬物乱用問題に本腰を入れて取り組んでいたはずだった。プロダクション約100社が加盟する日本音楽事業者協会(音事協)は押尾、酒井の逮捕を受けて「違法薬物問題対策本部」を設置。音事協など業界3団体による警視庁との意見交換も実施された。「スターダストプロモーション」など、所属タレントへの薬物検査を独自に行う事務所もあった。

 しかし検査する場合、費用は事務所の持ち出し。コストに加えスケジュールの面からも、何度も実施することは現実的に難しい。根絶への動きが徐々に形骸化する中、事務所も「タレントに口頭で確認し、その回答を信じるしかない」(関係者)と“抜け道”は広がるばかりだった。

 成宮のように、疑惑から引退に至るケースは09年にも見られなかった。薬物使用は立証が難しい一方、世間の目は厳しくなっており、09年以上の対策が求められそうだ。

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