月9「ラヴソング」脚本は育児が好影響 倉光泰子氏は2児のママ

[ 2016年4月25日 10:00 ]

倉光泰子氏が脚本を務める月9「ラヴソング」第3話の1場面(左から藤原さくら、福山雅治)

 フジテレビ“月9”「ラヴソング」(月曜後9・00)の脚本を担当する倉光泰子氏(32)は、今回が連続ドラマデビュー作の“新人”。2児のママは育児の合間を縫い、話題作を執筆している。大抜擢された“もう1人”のシンデレラガールを直撃した。

 歌手で俳優の福山雅治(47)が3年ぶりにフジの看板枠に主演。ヒロインは演技未経験のシンガー・ソングライター、藤原さくら(20)。夢破れた元プロミュージシャンで現在は臨床心理士の神代広平(福山)と孤独を背負った女性・佐野さくら(藤原)が音楽を通じて心を通わす感動のヒューマン&ラブストーリー。

 「月9」の脚本を担当することが決まったのは昨年秋。今作には企画段階から関わり、アイデアを出していたが、「電車男」「ガリレオ」「HERO」などを手掛けたヒットメーカー・鈴木吉弘プロデューサーから脚本執筆を依頼された。

 「ビックリしました。こんなに大きな仕事を頂いていいのかと。それとともに、とても不安で。不安だっだのが一番ですね」

 2014年に「隣のレジの梅木さん」で第26回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。今回の起用理由について、鈴木プロデューサーは「ラブストーリーは女性の目線が非常に大事。さらに、月曜9時の視聴者層に近い感覚を持った人の感性が必要」と説明。

 「人の心の中身を書くのがうまく、キャラクターのとらえ方が皮肉っぽい。意地悪な面とか、ちょっとした悪意とか、そういうのを凄くうまく拾う作家さんです。今回は、ベタなボーイ・ミーツ・ガールじゃない話なので、倉光さんが作るキャラクターはおもしろい。お互いを近寄らせない感じと、同時に近寄りたい感じの矛盾するところが非常におもしろく描かれていると思います」と評価する。

 本人も「個人的には、どちらかと言えば、性格の悪い子を書くのが好き」と自覚。「性格が悪い人も好きというか。人間らしいと思えるんですね。皆、どこかしらに汚い気持ちがあると思うので『それでもいいんだよ』『それが普通なんだよ』という感じで書いています」。その上で、さくらの同僚が交わす“意地悪な会話”には「こだわっています。超意地悪にはならないように、ギリギリのラインを攻めるようにしています」とした。

 第1話のタイトルバック。桜並木の道をヒロイン・さくらがバイクで走るシーンはモノクロから始まる。桜の花びらが口に入り、さくらはペッと吐き出す。それがエンドロールになると、カラー。さくらは自ら口を開き、桜の花びらをパクッと“食べ”に行く。鮮やかな対比だった。

 「モノクロームだったさくらの世界が、神代広平と出会って変わるのを表現したいと思いました。桜の花びらを吐き出すのは、イライラしている象徴。それが彼と出会い、第1話のラストはゴーグルを外して、きれいな桜、色づいた世界を見ます。彼女の気持ちが少し明るくなったのを表現したかったんです」

 小さい頃から映画好き。高校生の頃に見た脚本家・中島丈博氏(80)の半自伝的映画「祭りの準備」(監督黒木和雄、1975年)などに影響を受け、この世界を志した。日本大学芸術学部映画学科の監督コースに進んだが「自分に監督の能力はない」と断念。ただ、映画やドラマには携わりたいと、脚本の学校に通った。その後、映画製作会社で働く傍ら、携帯ゲームのシナリオを執筆。シナリオコンクールに初めて応募した「フジテレビヤングシナリオ大賞」で大賞に輝いた。

 現在、2児のママ。「下の子はまだ小さい(1歳)ので、夜中起きてしまったりして、書く時間がどんどん減っていくんです。そうすると『書きたい、書きたい』という欲求が出てきて。それと『もうできないかもしれない』と追い込まれると(アイデアが)出てくることも結構あります」。育児が執筆に好影響を与えている。

 「やる前はもっと孤独な作業かと思っていたんですが、プロデューサーさんや監督さん、いろいろな人の意見を聞いて作っていくのが楽しいです」と周囲に感謝。目下、第8話に取り組む最中。最終回に向けては「さくらちゃんの成長物語なので、ちゃんと成長させてあげたい。その中で神代広平も何かを見つけるような物語にしたいと思います。最初は彼女だけの成長かなと思っていたんですが、彼自身も成長するように」と展望した。

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