NHKスタッフ 佐村河内氏の感想を「不思議に思った」

[ 2014年3月17日 08:24 ]

佐村河内守氏

 「両耳の聞こえない作曲家」として活動していた佐村河内守氏(50)が作曲者や聴力を偽装していた問題で、問題化する前から同氏を番組で取り上げたNHKが16日、調査報告書をまとめ謝罪した。報告書からは、同氏が公演後、ピアニストに演奏の感想を述べたことでスタッフに不思議がられていたことが判明。疑惑を問いただした番組ディレクターには「自分はシロ」とのメールを送っていたことも分かった。

 NHKは、佐村河内氏の知名度アップに大きく影響したとされる昨年3月放送の「NHKスペシャル」など、複数の番組やニュースで取り上げてきた。報告書はこれらの放送を対象に、経緯を調査。放送前に「必要と思われた検討や確認は行った」とする一方、「結果として事実と異なる内容を放送したことを真摯(しんし)に受け止め、反省しなければいけない」との見解を示している。

 報告書によると、佐村河内氏の聴力についてNHKは、全ての撮影素材を見た映像編集担当者の証言として「耳が聞こえるかもしれないと思うようなカットはワンカットもなかった」とした。

 一方で、佐村河内氏が石巻市での公演後、ピアニストに対して演奏についての感想を言ったり、テレビのスピーカーに指を当て「音の強弱が分かる」と言って説明した場面があり、映像スタッフの一人は「不思議に思った」と証言したという。このスタッフは疑問を感じつつ「特別な感性を持っている人には分かるのかな」と、それ以上疑うことはなかった。

 問題発覚のきっかけとなった「週刊文春」の告発記事が出る前、NHKスペシャルを担当した契約ディレクターが同誌の取材を受け、佐村河内氏にメールで問い合わせたところ、「自分はシロだ」と、疑惑を否定する返信があったという。しかし同誌の発売が4日後に迫った先月2日、一転して別の人物に作曲させていたことを認めるメールが送られてきた。この中で佐村河内氏は「償いきれないほどの裏切りをした」と契約ディレクターに謝罪していた。

 このディレクターが佐村河内氏の虚偽を知りながら番組制作を進めていたかのような一部報道について、報告書は「本人は全面的に否定している。撮影で行動をともにしたスタッフからのヒアリングでも、そのような事実は認められなかった」とした。

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2014年3月17日のニュース