田畑智子 スポニチ新人賞、助演賞…そして史上初3冠

[ 2013年1月18日 06:00 ]

女優主演賞を受賞した田畑智子

2012年毎日映画コンクール 女優主演賞

 女優主演賞には「ふがいない僕は空を見た」の田畑智子(32)が新人賞、助演賞を経て3冠を達成。

 「お引越し」(93年)でスポニチグランプリ新人賞、「血と骨」「隠し剣鬼の爪」(04年)で助演賞、そして今回の主演賞で田畑は毎日映コン史上初の3冠ホルダーとなった。およそ10年周期でのステップアップ。「自分のことなんですけど、凄いなあって思います。多くの映画が公開される中、評価していただけて次への糧になります」と屈託のない笑顔を見せた。

 山本周五郎賞に輝く窪美澄さんの原作をタナダユキ監督が映画化した「ふがいない僕は空を見た」が対象作。子づくりを求める姑(しゅうとめ)とマザコンの夫から逃避するように高校生と不倫にふけるアニメ好きの主婦・里美に丸ごと入り込み、コスプレ姿の大胆な情事でも魅せた。

 「30代を迎えて、来るべくして来た役だと思いました。挑戦しがいのある役でした。あそこまでの絡みも初めてでしたが、恥ずかしいと思ったら体がこわばってしまう。本を読んだ時から腹をくくっていたので不安もなかったですし、タナダ監督の女性ならではの気遣いもあって、気合を入れて役と向き合いました」

 多くの出会いが田畑を大きくしていった。相米慎二、山田洋次、久世光彦といった名だたる演出家に「大人計画」の舞台で共演した中村勘三郎さん。とりわけ12歳のデビュー作「お引越し」で鍛えられた相米監督への思いは今なお強い。「今でも会いたいです。監督が亡くなった後、いろんなことを吸収していくにつれて偉大さが分かっていきました」

 高校時代に「違う道があるかもしれないと思った」とも告白するが、既に迷いはない。人間観察が大好きで、役が難しければ難しいほど燃えるタイプ。「死刑囚の役とか、犯罪者とか、やってみたいものはたくさんあります」と意欲は満々。久世さんが演出した向田邦子シリーズなどで共演した田中裕子(57)があこがれと明かす。田中絹代賞を受賞した田中と表彰式で再会することを楽しみにしている。

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