押尾被告 墓穴掘った!法廷でのウソ認める

[ 2010年9月14日 06:00 ]

押尾学被告

 合成麻薬MDMAを一緒にのんだ女性を救命せず死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた元俳優押尾学被告(32)の裁判員裁判の第6回公判が13日、東京地裁で開かれた。押尾被告は被告人質問で、昨年10月の薬物事件の裁判でウソをついたと告白。裁判員に自ら証言への疑いを抱かせるという墓穴を掘った。この日の証人尋問で有利な証言が出ただけに、極めて手痛い失策となった。

 最後のチャンスだった裁判のヤマ場で、自ら裁判員に悪いイメージを植え付けてしまった。
 弁護側の被告人質問で、押尾被告は昨年8月2日の事件以前に飲食店従業員田中香織さん=当時(30)=と一緒にMDMAを5回ほど使ったことがあると証言。これについて、検察側からの質問冒頭で「前の裁判でそれを否定しているのはなぜ?」と問いつめられると一瞬沈黙。「覚えてません」と答えた。
 昨年の薬物事件の公判では、事件で初めてMDMAを一緒に使ったと証言していたため、検察側は「法廷でウソをついたのか?」と追及。押尾被告は「はい」と認めざるを得ず、さらに「今回と前回(の裁判)では何が違うか?」とウソをついた理由を問われると「正直言うと前回はどうしても隠したくて少しでも現実から逃げたかった。でも今回は全部隠さず話している」と弁明。それまでは身ぶり手ぶりを交え、声を上ずらせて興奮気味に答えたが、この時ばかりは言葉を選ぶようにゆっくりと話した。
 山口裕之裁判長も「今回と前回の裁判でなぜ発言が違うのか?」と質問。押尾被告が「大きなことになってしまったから」と説明すると「前回は小さかった?」と詰め寄った。押尾被告は「い、いや…」と口ごもるしかなかった。
 事件当日に服用したMDMAの錠剤数も、昨年の公判が1錠だったのに対し、今回は5錠。またこの日だけでも、米国で入手したMDMAが1錠10ドル(約840円)なのに対し、友人の泉田勇介受刑者(32)=押尾被告への譲渡罪で服役中=から入手したMDMAが粉末10グラムで34万~35万円だったと説明するなど、矛盾ともとられかねない発言もあった。
 押尾被告は、事件当日に使ったMDMAは田中さんのもので、セックスする際はお互いにMDMAを持ち寄っていたと主張。このことを強調するために、過去の田中さんとのドラッグセックス歴を正直に告白したとみられる。これにより「保護責任者」の立場にないと強調する狙いだったはずだが、東京地検元公安部長の若狭勝弁護士は「裁判員にウソつきという印象を植え付けてしまう」と指摘した。

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2010年9月14日のニュース