[ 2010年2月1日 06:00 ]

エリアフ・インバルが都響を指揮してマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を取り上げた際の公演写真。このときも多くの聴衆を大きな感動に誘った。(c)堀田力丸

 そして、3月にはいよいよ“真打”が登場する。在京のオーケストラの中で最もマーラーの演奏経験が豊富で多くの専門家、ファンから高い評価を得てきた東京都交響楽団が、プリンシパル・コンダクター、エリアフ・インバルの指揮で第3番ニ短調を演奏するのだ。改めて紹介するまでもなくインバルは世界的なマーラー指揮者。前述のマーラー・ブームも彼がフランクフルト放送響を指揮して録音した交響曲全集が火付け役のひとつとなったことは、誰もが認めるところだろう。また、都響もこれまで若杉弘、インバル、ガリー・ベルティーニとそれぞれマーラー・チクルスを敢行し、日本の演奏史に残る名演を数多く繰り広げてきた。これらの経験を踏まえてマーラー独特の深遠な響きの世界をごく自然に創り出すことができるのが都響にとっては最大の強みで、いったんインバルのような指揮者を迎えたときは、世界レベルの高水準な演奏が約束されている。

 それぞれ個性が異なる演奏となることは間違いないが、多角的にこの作曲家の真相に迫るまたとないチャンス。可能な限りたくさんの公演を聴くことをお薦めしたい。

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2010年2月1日のニュース