2010年マーラー・イヤー前半、これを聴け!

[ 2010年2月1日 06:00 ]

 2010年はグスタフ・マーラーの生誕150年のメモリアル・イヤー。各オーケストラのプログラムをザッと見渡すと、やはり例年以上にその作品が取り上げられることは多い。

 80年代から90年代前半にかけてのいわゆるマーラー・ブーム以来の活況だが、当時と今を比べるとマーラー作品の演奏スタイルは多様化し、解釈の幅も格段に広がっている。オーケストラ音楽の究極のひとつともいえるマーラーの魅力を最新の演奏で、改めて確認してみる絶好の機会となりそうだ。
 さて、マーラーというとスポニチ読者やOTTAVAのリスナーの皆さんはどんなイメージを思い描きますか?私が抱くイメージをランダムに羅列してみると、「大編成のオーケストラを駆使した多彩なオーケストレーション」「作品が長大」「オーケストラの機能に精通した作曲家」「19世紀末ヨーロッパ(とりわけウィーン)文化の爛熟と退廃的雰囲気」「画家のクリムトをはじめとする同時代にウィーンで活躍した芸術家たちとその影響」「世紀末特有の漠とした不安感」「死に対する恐怖」「当時のユダヤ系ヨーロッパ人を取り巻く環境と本人たちの受け止め」「ウィーン宮廷(現・国立)歌劇場総監督」等々である。
 これらはいずれもマーラーの作品を鑑賞していく上での重要なキーワード、キーセンテンスとなり得るもので、演奏する側はこうした要素のどれに重きを置くかで作品へのアプローチもおのずと決まってくる。そんなことを考えながら、この1年、内外のオーケストラや指揮者たちが繰り広げる名演の数々を聴き比べていくのも一興に違いない。これから3月までの間、首都圏における公演だけに限ってみてもまさに百花繚乱。特にお薦めすべきものを順に紹介していこう。

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2010年2月1日のニュース