阪神・佐藤輝 3連勝導くサヨナラ打「絶対に力が入るので、リラックスした」脱力を念頭にフルスイング封印

[ 2024年4月19日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―1巨人 ( 2024年4月18日    甲子園 )

<神・巨>10回無死満塁、サヨナラ打を放ち、ウオーターシャワーを浴びる佐藤輝(左)(撮影・北條 貴史)
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 阪神・佐藤輝明内野手(25)が18日の巨人戦でプロ4年目で初のサヨナラ適時打を放ち、1分けを含む3連勝と9日ぶりの勝率5割復帰を決めた。1―1の延長10回無死満塁から右翼線へ打ち返し、開幕から6戦無失点だった大勢を攻略。10試合連続2得点以下は過去2度の球団ワーストに並んでも、同期間を4勝4敗2分けで乗り切り、11試合ぶり2度目の2桁安打で上昇を予感させた。

 佐藤輝の狙いはただ一つ「直球に振り負けないこと」だった。開幕から6試合連続無失点を誇る大勢との対決。10回無死二、三塁になったところで大山が勝負を避けられ、満塁を託された。菅野に3打席連続の空振り三振など、3打数無安打1四球で迎えた5度目の打席。速球で押されることを想定し、脱力を念頭に置いて左打席へと歩を進めた。

 「絶対に力が入るので、リラックスした。(打球が)何とか抜けてくれてよかった」

 持ち前のフルスイングは封印し、ミートに徹した。初球から156キロ、155キロ、152キロ…。膝元を攻められても冷静に対応。カウント2―2からの6球目、155キロを叩き、一塁右を破った。ベンチは空っぽ。少し肌寒い春の夜の甲子園が歓喜で沸き立った。

 「(ウオーターシャワーは)ちょっと寒かった。(水を)めちゃくちゃかけられた。うれしかった」

 昨年8月12日のヤクルト戦での初サヨナラ打は京セラドームでの犠飛。2度目を初めて安打で飾り、超満員で沸き返る本拠地での美酒は格別だった。

 7日ヤクルト戦から始まった「2得点以下」は過去2度の球団ワーストに並ぶ10試合まで伸びた。59年の1勝8敗1分け、12年の2勝6敗2分けと違って4勝4敗2分け。投手陣の踏ん張りで乗り切った。しかも1分けを含む3連勝と11試合ぶり2桁安打の上がり目。今季初サヨナラの劇勝でトンネルの出口に近づいた。

 安打が少なく采配を振る機会も少なかった岡田監督は「いや、こんなんで喜んでたらあかん。まあ、うれしいね、やっとね」と光明の10安打に胸をなで下ろした。勝率5割に戻し、19日からは首位・中日を甲子園に迎える。気付けば2・5ゲーム差しかない。3連勝すれば、一気に今季初の奪首も視界に入る。

 殊勲の佐藤輝は両手に残る余韻を確かめ、全身で浮上を予感した。「厳しい試合が続いたけど、勝ち切ることができた。いい流れが来ている」。投手陣に返さないといけない借りはまだまだある。猛虎がいよいよ目覚めの時を迎えた。(八木 勇磨)

 ○…阪神は7日のヤクルト戦から10試合連続2得点以下で、12年ぶり3度目の球団最長記録。期間中の成績は1959年が1勝8敗1分け、2012年が2勝6敗2分けと大きく負け越したのに対し、今回は投手陣の頑張りもあり4勝4敗2分けの健闘。

 ○…阪神が今季初のサヨナラ勝ち。巨人戦では21年9月4日(甲子園)以来3年ぶり。佐藤輝のサヨナラ打は通算2本目。前回は23年8月12日ヤクルト戦(京セラドーム)延長12回の犠飛で、安打で決めたのは初めて。

 ○…「ウル虎の夏」ユニホームのお披露目3連戦を2勝1分けの勝ち越し。同カードは通算19勝9敗1分けの勝率・679。13年からの11カード(20年は中止)で8度目の勝ち越しと相性がいい。

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