ソフトバンク・三笠GMが明かす3軍韓国遠征の意義「大きな経験、財産に」

[ 2024年4月19日 05:25 ]

韓国遠征を視察し意義を語るソフトバンク・三笠GM
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 独自の“海外戦略”の意義とは――。ソフトバンクの3軍韓国遠征が16日からスタートした。育成選手を中心としたメンバーで、今回は2週間で12試合を戦う。最初の対戦相手の斗山ベアーズ2軍戦は2勝1敗で勝ち越した。コロナ禍での中止期間を経て昨年から本格再開。若手にとっては慣れない環境下での研さんの場で「育成のホークス」復活へのカギとなりそうだ。(木下 大一)

 ソフトバンクの韓国遠征は2012年から始まった。育成選手時代の甲斐や千賀(現メッツ)、牧原大、石川らに加え、支配下選手も武田らが若手時代に研さんを積んだ。

 どのような意義があるのか。6年ぶりに韓国を視察に訪れた三笠杉彦GMは「3軍は1軍や2軍とは違い、我々自身でマッチメークしていかないといけない。レベルの高い韓国のファーム選手とやれるチャンス。福岡からソウルでも飛行機で1時間半ですし、釜山は(キャンプ地の)宮崎くらいの距離。大きな経験、財産になっている」と説明した。

 “プラスα”の要素もある。同GMは「世界でも自分たちと同じような境遇で一流を目指してやっている選手はいる。そのことを目の当たりにして気持ちを新たにしてもらいたいし、仕事としてのプロ野球選手として、どんな環境でもしっかり自分自身をマネジメントして、結果を出すトレーニングという意味合いもある」とも話した。

 日本国内とは異なり、食事面や宿泊環境、移動の不便さを伴うケースもある。グラウンドのプレーにおいてもマウンドが国内より硬かったり、相手打者の特徴も異なる。実際、食事が合わずに苦しむ選手もいる。16~18日の斗山ベアーズ2軍との3連戦も、片道2時間半のバス移動となった。初戦に先発した井崎は倉野投手コーチからのアドバイスを挙げて「“先発調整していても急に中継ぎでいったり、いろんな環境に対応できないと育成は支配下になっていけない。環境を言い訳にせずベストを尽くせる準備をしよう”と言われている。マウンドが硬かったり、慣れないところもありますが、その通りだと思って臨んでいます」と話した。

 12年からスタートした韓国遠征の取り組みは、コロナ禍の影響で20、21年は中止となった。22年10月末に3試合が行われ、昨年から本格的に再始動した。積極的に行っているウインターリーグへの選手派遣も同様に中止を余儀なくされていた。

 特に3軍は独自に試合を組んでいかないといけない。ソフトバンクの育成システムは豊富な実戦数を大前提にしており、他の実戦の減少も含めて「育成のホークス」の停滞につながってしまった。今季はすでに3人が育成から昇格。再び育成選手が台頭する流れへの回帰を目指す。

 三笠GMはこうも付け加えた。「野球のWBCをサッカーのワールドカップのように盛り上げていく必要があり、その中で日本がチャンピオンであり続けることが野球の発展のために必要なことだと思っている。野球は他のスポーツに比べて国際経験が少ない。将来、代表になる選手が、台湾だったり韓国の野球も経験しておくことは意味のあるステップでもあると思う」

 育成選手が次々と台頭し、主力を担ってきたソフトバンク。独自の海外戦略で「育成のホークス」復活を目指す。

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