阪神・西勇がブルペン一番左のレーンで投げる理由 スペシャル調整されたマウンド

[ 2024年2月15日 05:15 ]

常に一番手前(右端)のマウンドで投球練習する阪神・西勇(撮影・北條 貴史)
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 【畑野理之の談々畑】西勇輝が2日ぶりにブルペンに入った。変化球を交えて33球。受けたブルペン捕手の片山大樹から「ええよ、ええよ~、よく落ちてるわ」の声が掛かる。西勇もラスト1球の真っすぐをビシッと決めて“OKです!”と締めた。前日13日は右ふくらはぎの張りを訴えて、午前中に沖縄県内の病院を受診。状態が心配されたが、この日のパフォーマンスを見る限り、キャンプ初日からの快調スタートから“いったん停止”程度で済み、再発進できたように映る。

 西勇は6列あるブルペンでいつも一番左のレーンで投げる。ちなみに宜野座のブルペンは投手から捕手を見て右側にファンのための席があり、左側に報道陣や他球団スコアラーのための席が用意されている。

 この日も一番乗りで入ってきて選び放題なのにやはり当たり前のように定位置で投げ始めた。普段は特別気にすることもなかったが、フッと何でだろうと考えた。ファンに近いのがイヤなのか?もしくは目の前に壁があるのが気になるのか?しかしそんなちっぽけな理由ではないことがすぐに分かった。左端のマウンドが西勇輝スペシャルに調整しているからだという。

 踏み出す左足の着地部分を、簡単にいえば、軟らかくしている。カチコチの硬さよりも、少し“遊び”の部分がある方を好む。センチ未満ミリ単位の精密な制球には不可欠なのだ。甲子園球場の公式戦でも西勇が先発する日だけ試合前に“エリア16”がつくられている。試合前も、甲子園の3レーンあるブルペンのうち1カ所だけ阪神園芸が手を入れて準備をさせる入念さだ。

 ほんの1センチ程度、砂をまぶした状態なのだとか。目視は絶対に不可能で、投手以外の選手や関係者も普通は気付かないレベル。プロのこだわり、そして通算118勝の繊細さを知った。

 西勇の踏み出す位置は独特で、投手板の一番左(一塁側)から、さらに左へ着地する。かつて、同じく左端からクロスステップしていた左腕の能見篤史がほぼ同じ位置だった。ちなみに阪神移籍前、2018年までのオリックス時代からで、甲子園での関西ダービーで阪神の先発が西勇の時は、オリックス投手陣が「やっぱり今でもこの辺が少し軟らかい」と気付いていたそうだ。

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