【阪神大震災29年】3度被災…元阪神、ヤクルトの歳内宏明氏 子供たちに伝える「生きる意味」

[ 2024年1月17日 06:00 ]

子供たちと野球を楽しむ歳内氏(撮影・後藤 大輝)
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 1995年1月17日に発生した阪神大震災から、きょう17日で29年になる。現役時代は阪神、ヤクルトで活躍した歳内宏明さん(30)は3度の震災を経験した。

 歳内さんは3度、大震災を経験している。帰省中だった今年の元日は妻の実家・福井県で能登半島地震に襲われた。13年前の3月11日に発生した東日本大震災当時は聖光学院2年。そして阪神大震災は、地元・兵庫県尼崎市で両親とともに悪夢を見た。

 「阪神大震災は1歳半の時でした。家族にケガもなく、家の被害も、そこまでなかったと聞いています」

 鉄筋の集合住宅だった実家は揺れに耐えた一方、350メートルほどしか離れていない父方の祖母・初子さん(87)が住む木造の自宅兼酒屋は大きな打撃を受けた。商品の陳列棚は倒れ、酒、酢、油の瓶が床に散乱。浴室のタイルもひび割れた。初子さんは「水道やガスも止まった。1週間は店を開けられなかった」と回想。後年、歳内さんは「傷んだ住宅の修繕費用に充ててほしい」と、阪神入団時の契約金の一部を祖母に贈っている。

 21年限りで現役を引退し、現在は阪神のアカデミーコーチとして奮闘する。「“この子、うまいな”と思うことも多い。みんなが少しでも野球を好きになってくれればうれしい」。震災と隣り合わせの人生を送ってきた歳内さんはこの先も子供たちへ「野球の楽しさ」に加えて「生きる意味」も伝えていく。能登半島地震により今、野球を奪われた北陸の少年少女たちが、一日でも早く、笑顔でプレーできる日常が戻ることを祈りながら白球を追う。 (八木 勇磨)

 ◇歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日生まれ、兵庫県出身の30歳。聖光学院(福島)では2、3年夏の甲子園に出場。11年ドラフト2位で阪神入団。19年オフに退団し、20年は独立リーグの四国・香川でプレー。同年9月にヤクルトでNPBに復帰し21年限りで引退。NPB通算64試合3勝6敗、防御率4・18。現役時は1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

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