ソフトB・中村亮太 元阪神監督・中村勝広氏を大叔父に持つ右腕 再び支配下へ「克己心」

[ 2023年10月10日 15:03 ]

ファーム日本選手権に登板した中村亮(撮影・岡田 丈靖)
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 毎週火曜日にソフトバンクのファーム情報をお届けしている筑後鷹の第49回は今季から育成再契約となった中村亮太投手(25)。2軍でウエスタン・リーグ最多の53試合に登板し、防御率2・17と安定した活躍で3年ぶりの優勝と4年ぶりの日本一に貢献。阪神で監督やGMを務めた中村勝広氏(故人)を大叔父に持つ右腕が、今季の変化を語った。

 今季の奮闘ぶりが分かるシーンだった。今月1日のウエスタン・リーグ最終戦の中日戦(タマスタ筑後)。53試合目の登板だった中村亮は1点リードの7回に4番手でマウンドへ上がると、わずか7球で3者凡退に抑えた。ベンチでは小久保2軍監督から握手を求められ「お疲れさんだったね。よく頑張ったよ」とねぎらわれた。短い言葉だったが、心の底からうれしかった。7日のファーム日本選手権でも3番手で登板し、1回を無失点に抑えて日本一に貢献した。

 昨年は7月に支配下を勝ち取り、1軍で2試合に登板したが結果を出せず。オフに戦力外通告を受け再び、育成契約を結んだ。今季は開幕から2軍で中継ぎの一角として、安定した投球を続けた。

 特筆するべきは6月以降。6月17日から8月24日まで18試合連続無失点をマークした。「後半はずっといい状態だった。もっと5月ぐらいからそういう面を出せていたら」と7月末の支配下期限を念頭に悔しさを語る。

 転機になった試合があった。2軍戦が1軍の本拠地ペイペイドームで7年ぶりに開催された5月16日からの3連戦。中継ぎで2試合に登板し、ともに無失点に抑えた。昨年のオープン戦ではホームのマウンドに立ったが、支配下昇格後は、ドームで投げる機会はなかった。「やっぱりここで投げたいという思いを強く感じて。早く2桁(の背番号)にして投げている姿を見てもらいたい」と強く心に誓ったことが、成績の安定につながった。

 中村亮自身の成長もある。昨年までは150キロ台の直球とシンカーが武器の投手だったが、今季から手元で小さく曲がるシュートやカットボールをマスターした。「このカウントでストレートが来るだろうというところで、ちょっと曲げたりして。今年はファウルを取れた」と投球の幅が広がったと語る。制球もアップ。与四死球は昨年は2軍で41回1/3で22、今季は49回2/3で8と大幅に減少した。内容は充実している。

 ピンチで登板する機会が多かったが、1軍で活躍する藤井、又吉、嘉弥真ら中継ぎを例に「1軍で投げたいなら当たり前に抑えないといけない」と言い聞かせて腕を振ってきた。大叔父の勝広氏には小学生の頃、野球を教わったこともあり、座右の銘「克己心」も受け継いだ。己に打ち勝った男は、いつでも再び支配下になる準備はできている。(杉浦 友樹)

 ◇中村 亮太(なかむら・りょうた)1998年(平10)5月18日生まれ、千葉県出身の25歳。千葉経済大付3年夏に県大会準決勝に進むが、早川(楽天)を擁する木更津総合に逆転負けで敗退。東農大オホーツクに進み、20年育成8位でソフトバンクに入団。1メートル81、78キロ。背番号137。右投げ右打ち。

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