張本勲氏が語る巨人再建論 秋広、岡本和は令和の“ON” 若手への切り替え急務、不動の3、4番形成を

[ 2023年10月10日 06:00 ]

1963年、川上哲治監督を中心に、巨人の強力打線がV字を作る巨人のメンバー。(左から)森昌彦、広岡達朗、王貞治、長嶋茂雄、川上哲治監督、柳田利夫、国松彰、坂崎一彦、西野忠臣、1963年2月撮影
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 2年連続Bクラスに終わった巨人は計17年間指揮を執った原辰徳監督(65)が辞任し、阿部慎之助新監督(44)が誕生した。時代の変革期を迎えた名門球団の、再建の道はどこにあるのか。巨人OBである「球界のご意見番」張本勲氏(83)が、企画「マイ・オピニオン」で巨人再建論を緊急提言した。

 今年の巨人の成績不振には「喝!」と言わざるを得ない。特に優勝した阪神に6勝18敗1分け。私も巨人OBだ。これでは伝統の一戦が泣いてしまう。V逸の大きな要因にもなった。最低でも互角に戦う姿を、阿部新監督が率いる来季の巨人には見せてほしい。

 阿部新監督に望むのは投打ともに若手への切り替えだ。これができてこそ常勝軍団を再建できる。通算406本塁打を放つなど自身は球史に残る「打てる捕手」だった。ならば、同じ左打者である秋広を徹底的に鍛え上げてほしいと強く願う。

 秋広は2メートルの長身ながら器用さも併せ持ち、安打を打つことはできる。ただ、まだまだ1年間のシーズンを戦い抜く体力も、バットでボールを打ち砕くような力強さもない。胸板なども細い。エンゼルス・大谷のような上腕の太さ、胸板の厚さを身につけた上で、阿部新監督には技術を注入してほしい。今季は10本塁打だった。来季は岡本和との3、4番コンビで30本塁打。これが理想だ。

 6日の就任会見では「まず自分自身が変わって、そうすれば選手たちも僕を見ているはず。そこがスタート」と言っていた。まさにその通り。私の経験則でもあるが、選手というのは賢い。上司である監督のことを非常によく見ている。選手への接し方などの態度はもちろん、試合に勝つために理にかなった采配をしているか…、など細かいところまで見ているものだ。

 阿部新監督は自ら「変わる」という。そのためには最初が肝心だ。春季キャンプ、そしてオープン戦あたりの段階で選手に「この監督に付いていこう!」と思ってもらう。今の時代は厳しくする一方ではなく、言い聞かせ、納得させ、褒める。そういう若い選手の輪に入って相手を知り、己を知り、そして勝つための野球をしなければならない。

 野球ほど監督の采配が勝敗を左右する競技はない。来季、優勝を奪回してぜひ「あっぱれ!」と大声で言わせてほしい。期待している。(スポニチ本紙評論家)

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