ソフトバンク・津森 デレデレの後は父親の威厳を示した球宴

[ 2023年7月22日 08:00 ]

オールスター第2戦の5回に登板したソフトバンク・津森
Photo By スポニチ

 デレデレののちに、父親の威厳も誇示していた。ソフトバンク津森宥紀投手(25)が、2度目の出場となった球宴で精力的に動いていた。特に、20日の第2戦。広島のマツダスタジアムに夫人と生後10カ月の第一子となる長男を招待していた。

 試合前から、かなりはしゃいでいた。「オスナ、見て。僕の息子です。和田さんにも、伝えないと」。試合前の練習後に愛息を抱いた夫人を、三塁ベンチ近くの客席最前列に呼び寄せて、全パの投手陣にお披露目した。第2戦で登板を控えていた変則横手右腕だが、息子を抱っこしようとグラウンド側の塀をよじ登ろうとして客席の警備員に制止され、苦笑い。オスナには「オー、ミニツモリネー」といじられ「眉間にしわを寄せたところが、僕に似ているでしょ?」と通訳に和訳をしてくれと訴えていた。

 溺愛ぶりが、見ていて新鮮だった。自宅に帰って渡せばいいのに、自身がキャッチボールで使用した白球を観客席の愛妻にトス。息子に触れさせていた。

 全セの練習中には打撃ケージ裏の阪神・佐藤輝とトーク。佐藤輝のバットで素振りを続けた。巨人・岡本和とは関西弁で談笑した。スター選手と交わる父親を見ろ、と言わんばかりの背中だった。

 今季は勝ちパターンの中継ぎとして38試合に登板中。当然、マウンドでも持ち前の投げっぷりの良さは健在だった。3―0の5回に全パの4番手で登板。

先頭・岡本和には中二塁打。続く牧に中前適時打で1点こそ失ったが中田を三ゴロ。宮崎を三ゴロ併殺に斬った。

 事前に「ツーシームを投げてみます」と後半戦に生かす新球種の試投をちらつかせていたが、1球も投げなかった。津森の登場は、ナイター照明が付いた時間帯。愛息は寝てしまっていたかもしれないが、父親は相手を封じる仕事に結局は徹した。家族の前で魂のこもった1回11球2安打1失点。勝負師としての本能は息子だけでなく、見る者にもきっちりと伝わってきた。(記者コラム・井上満夫)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年7月22日のニュース