矢野燿大氏 「近本の穴は誰か一人では埋められない」島田、前川、チャンスと思って奮起せよ

[ 2023年7月8日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神ーヤクルト ( 2023年7月7日    甲子園 )

<神・ヤ 雨天中止>打撃練習を行う島田(撮影・大森 寛明)
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 【矢野燿大氏 視点】阪神は6月以降のチームの低調に加え、リードオフマンの近本が右肋骨骨折により離脱。この苦境に、どう向き合って戦うべきか。本紙評論家の矢野燿大氏(54)は、前川右京外野手(20)と島田海吏外野手(27)の奮起を求めた。

 近本の離脱は痛すぎる。私が監督だった昨年までも、キーマンは全員だと言っていたけど、誰か一人をどうしても挙げろとなれば近本だった。タイガースの野球は近本がいてこそで、今年もチャンスメークも走者を還す役割もしていた。誰か一人で穴を埋めることはできない。大山や佐藤輝らみんなでカバーしないといけないし、チャンスだと思う選手もどんどん出てこないといけない。

 前川もその一人だろう。3番を任されることもあるロマン砲。相手先発が左投手の時でもスタメン出場するくらいの輝きを放っていてほしい。1軍の、それもエース級の左投手との対戦経験が20歳の成長を促す。岡田監督に「使ってみるか」と思わせるものを持っているのも知っている。近本には一日も早く戻ってきてもらうのは当然だが、不可抗力の負傷で仕方がなく、切り替えるしかない。1週間で戻ってこられるものではないので、残り67試合、もう一度チームを立て直していく中で前川の持つポテンシャル、そして可能性に期待したい。来年以降のチーム編成を考えても、だ。

 センターという守備は無視できないので、やっぱり島田が1番手になる。私も「1番・中堅」で起用したが、打つ方でも力はある。足が速いという魅力もある。近本に遠慮せず、このままオレがレギュラーを獲るんだという気持ちをもっと見せてもいい。きれいごとはいらない。近本が帰ってきた時も、もう外せないくらいの存在感にならないといけない。

 得点力不足が少し心配だが打開策なんて簡単には見つからない。選手個々が状態を上げ、やれることをしっかりとやるしかない。まだ首位にいる。私もユニホームを着ていた時は勝敗や順位、ゲーム差に一喜一憂することもあったが、本当の勝負はこれから先にある。ムチを入れる時期がきた時、選手はその輪の中にいられるように競い合ってほしい。(本紙評論家)

 ▽矢野阪神と近本 矢野氏が阪神監督に就任した18年秋、ドラフト1位で大阪ガスから入団。新人の19年開幕戦に「2番・中堅」で先発出場。欠場1試合のみの142試合でセ・リーグ新人記録の159安打。36盗塁で盗塁王に輝いた。以降も22年まで4年連続130安打以上で21年最多安打。20、22年の盗塁王に加え、守備では矢野阪神の4シーズン全549試合中522試合で中堅スタメンを務め21、22年の2度ゴールデングラブ賞と、走攻守に欠かせない存在だった。

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