無四球完封の広島・九里 10年目進化の背景には米国修行 頼もしい「もうちょっと上がっていく」の言葉

[ 2023年7月1日 05:03 ]

セ・リーグ   広島8-0ヤクルト ( 2023年6月30日    神宮 )

<ヤ・広>ヤクルトに完封勝利し新井監督(左)にタッチで迎えられる九里(撮影・会津 智海)
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 圧巻だ。広島の九里亜蓮投手(31)が30日のヤクルト戦(神宮)で9回を5安打無失点の力投。今季2度目の完封勝利で6勝目を、19年6月25日の楽天戦以来となる自身2度目の無四球で飾った。打線も、坂倉将吾捕手(25)が7号先制2ランを放つなど今季最多タイの14安打で8得点の猛攻。今季最長6連勝で今季最多の貯金7とし、巨人に敗れた首位・阪神とは2ゲーム差に肉薄だ。

 9回2死から途中出場の浜田に左前へ運ばれ、打席に村上。カウント1―1からの外角低めツーシームで一ゴロに仕留めると、九里は白い歯をこぼした。9回を1人で投げ抜き5安打無失点。ヒーローインタビューでは達成感をにじませた。

 「連勝していたチームのいい流れに乗り、いい投球ができたと思う。打者一人ずつ勝負しながら、最後まで投げられて良かった」

 雨が降りしきる悪コンディションにも動じなかった。3ボールはわずか2度。ストライク先行で凡打の山を築き、二塁さえ踏ませない。堂々の無四球で今季2度目、通算4度目の完封勝利。昨季3戦3敗の神宮で完全無欠の快投を披露した。

 「本塁打の失点が多かったけど、それを恐れたら勝負できない。去年は去年。自分の投球はできたと思う」

 変化を恐れず、より高みを目指す挑戦を成果に結びつけている。新春に米国の最先端トレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」で習得に励んだ改造フォーム。横山投手コーチは「直球が速くなったし、制球も良くなっている」と10年目の進化を証言する。

 実際、数字に表れている。昨季3・40だった与四球率は今季1・96と大幅に改善。それでも「(制球は)もうちょっと。いろいろやっている最中なので、もうちょっと上がっていくと思う」と言うから頼もしい。

 新井監督は「移動試合でブルペン陣を助けてくれた。ナイスピッチングとしか言いようがない」と賛辞を惜しまない。6連勝で首位・阪神と2ゲーム差、2位・DeNAとは0・5ゲーム差に肉薄。「そこはまだまだ。目の前の1試合。その繰り返し」と語った。

 九里は言う。

 「米国に行ったことが一番でかい。僕自身、考え方が変わった」

 登板後には必ず海の向こうの担当者と連絡を取り合い「次の登板に向けて、どういう調整をしていくか」を確認するという。投球回数はリーグトップの92回を誇り、まだまだ発展途上を自認するタフな31歳。勝ち星で早くも昨季の6勝に並んだ今季、どこまでブレークするか楽しみだ。 (江尾 卓也)

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