大野豊氏もうなった広島・森下の総合力　投げて打って守って、非凡さが光る試合

交流戦   広島4－2ソフトバンク （ 2023年6月3日    マツダ ）

6回1死一、三塁、森下は投前にスクイズを決める　（撮影・奥　調）
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　【大野豊　視点】1―0の6回がポイントだった。曽根が見逃し三振に倒れた1死一、三塁で、森下が決めた一塁線へのセーフティースクイズ。本人が自賛した通り絶妙だった。無得点に終われば試合の流れがガラッと変わる。大きな意味を持つ1点となった。

　好守も光る。4回は柳町の強い打球を機敏に処理。7回には川瀬の一塁前へのゴロを追い、捕球できないと見るや速度を緩めず一塁ベースに駆け込んだ。その分、マクブルームも素早く反応できた。昨季ゴールデングラブ賞はダテじゃない。

　本業では初回2死から突然2四死球。3回だったか、投球練習に工夫が見えた。少し投げ急いでいると感じ取ったのか、軸足にタメをつくってタイミングを合わせようとしているように映った。実際に以降は制球が安定。さすがの修正力だった。

　場面、場面で何をすべきか。打席での2安打はもちろん、出されたサインの中で冷静に対応したセーフティースクイズしかり、投げ終えた後の守備もしかりだ。投手は投げるだけじゃない。投げて打って守って…森下の非凡さが光る試合だった。　（本紙評論家）