東北でまた「パレードを」 楽天・田中将、3・11に誓う 日本復帰2年目、9年ぶり日本一で復興後押し

[ 2022年3月12日 05:30 ]

オープン戦   楽天2―2DeNA ( 2022年3月11日    静岡 )

<楽・D>試合前に黙とうをする(左から)楽天・島内、渡辺打撃コーチ、奈良原内野守備走塁コーチ、真喜志ヘッドコーチ、田中将、岸、銀次、石井監督(手前右から)DeNA・三浦監督、青山ヘッドコーチ、斎藤チーフ投手コーチ(撮影・篠原岳夫)
Photo By スポニチ

 東日本大震災から11年を迎えた11日、全12球団がオープン戦の試合前に黙とうをささげて犠牲者を追悼。東北を本拠地とする楽天は、静岡で半旗を掲げてDeNAとのオープン戦を行い2―2の引き分けだった。13年に24勝無敗でチームを日本一に導いた田中将大投手(33)は再び優勝パレードを行うことを誓い、当時は新人で今季は開幕投手を務める則本昂大投手(31)は5回1安打無失点と好投を披露した。 

 一生、忘れることはない。バスから見た東北の人たちの笑顔の花を。11回目の3・11――。13年のリーグ優勝と日本一の立役者だった田中将は「またパレードをしたい。皆さんと一緒に喜びたい。そうするためには選手たち、チームで頑張らないといけない」と9年前に行われた優勝パレードの再現を誓った。

 球団史上初のリーグ優勝に導いた「無傷の24連勝」は今も語り継がれる伝説だ。ピンチの場面では鬼の形相で相手の前に立ちはだかった。絶対に負けない投球が、どれだけ復興途上だった被災地を勇気づけたか分からない。リーグ優勝と日本一を記念するパレードで、完全復興を目指す東北を再び活気づける。

 並々ならぬ決意とともに、震災から10年というタイミングでメジャーから日本球界に復帰した昨季、チームは3位だった。復帰2年目。「野球選手として東北を背負って戦っている。皆さんに何か感じ取っていただけるプレーをしたい」。巻き返しへの思いは強い。

 球場には半旗が掲げられ、両軍の黙とう後に「特別な試合」が始まった。先発は選手会長も務める則本。前日に2年ぶり7度目の開幕投手を務めることが公表されたばかりの右腕は、5回1安打無失点に抑えた。強風が吹く悪条件で4四死球を与えたが集中を維持。最速150キロで、精度向上に取り組むフォークを効果的に織り交ぜるシーズンさながらの投球に「“0”だったのは収穫」とうなずいた。

 新人だった13年は15勝を挙げ優勝に大きく貢献したが、エース・田中将の背中を懸命に追いかける立場で「無我夢中でやっていて、気付いたら優勝していた」と振り返る。今はチームの大黒柱となり「これまでの9年間で大変さや難しさを経験した。その上での10年目は凄く大事になる」と表情を引き締める。

 則本もパレードの光景は目に焼き付いており「たくさんの人から“ありがとう”と言ってもらって凄くうれしかった。感謝しているのは僕たち選手の方だった。たくさんの応援をもらったので」と言う。諦めることなく戦い続け、再び頂点に立つ。東北の人々と、また笑って「ありがとう」と言い合うために。(重光 晋太郎)

 ▼13年の日本一パレード 秋晴れの11月24日に開催され、沿道には約21万4000人のファンが集まった。市街中心部を南北に走る「東二番丁通」の約1.5キロ。うれし涙を流すファンもいた。「ありがとう!」と最後尾の5号車から手を振った田中は「優勝=ビールかけだったので、パレードのことは考えたこともなかったけど、いいものでした。またやりたいです」。オフにはポスティングシステムを利用してヤンキースに移籍した。

続きを表示

2022年3月12日のニュース